第119話 冒険者パーティー救出
冒険者パーティー救出
ファーミリオンを出発して、夜と言う事も在って、ゆっくりと時速30㎞/h程度で流すように走って居ると、小川の脇で野営している冒険者らしき姿を確認した。
まぁ野営して居る時にこんなでっけぇ蜘蛛っぽいのが結構な速度で近付いたら驚くわな、慌てて火を消して臨戦態勢になって居たので、ライトを向けて、外部スピーカーで声を掛けて、5km/hでゆっくり接近する事にした。
そして砲塔の上部ハッチから出て、挨拶をする事にした。
「皆さんすみません、驚かせてしまったようで申し訳ない。
私は、武者修行の旅の途中のC級冒険者エリーと申します、今護衛任務中なのでこのような重装備で移動中でしたので、驚かせる気は無かったのですけど。
あ、私の他に神速の勇者とゆかいな仲間達も同行中です。」
「ゆかいな仲間達って俺達の事かよっ!」
3号機からキースが突っ込み入れて来たけどここは無視で。
クリムゾンスパイダーから降りて、リーダーらしい人に握手を求めに行くと、よっぽど何か余裕が無い様子で、少しオドオドしていた。
「おや?どうされました?
貴方以外の方はもうお休みなので?」
私がそう聞くと、彼はゆっくりと口を開いた。
「俺は、”漆黒の風”のリーダーで、大盾使いのジェイと言う、何だかデカい乗り物で移動して居る様なので良かったら俺達を運んで貰えないだろうか?」
「それは構わないけど、何か困り事でも?」
「ああ、大型の魔物と対峙している間に、側面からワイルドボアの突進を食らってしまってな、全員怪我で動けんのだ。」
「そうか、それなら君達は運が良かったかも知れない、私達は今港へ向かって居る所だし、それに、治療位はしてやれる。」
「何だって? 医師でも運んで居るのか?」
「いや、さっきも言ったろ?
神速の勇者とその一行と、聖女が居るからな。」
「マジか! 本当に治せるのか?」
「任せなさい、兎に角先ずは怪我人を運び入れてしまおう。」
クリムゾンスパイダーに搭載して居る作業用ロボを稼働させ、慎重に怪我人を運びこむ。
その間にクリスを呼び出して、治療の準備で診療台を設置。
5人パーティーのタンク以外4人が怪我となっては動くに動けないよな、通りがかったのが私達で良かったよ、マジで。
「ちなみに、貴方も怪我して居るように見えるけど、腕とか大丈夫なの?」
「ああ、俺の事なんか後回しで構わない、助かるのなら助けてやって欲しい。
報酬ならいくらでも払う、頼む。」
「ああ、報酬なんかは要らんよ、私達は特に何かをする訳では無い、ちょっと診察して治療魔法を使うだけだ、あなたの腕位なら、これ飲んでおけば良くなるな、飲んでおきな。」
と言ってローポーションを渡す。
「こ、これは最近風の噂に聞いたポーションと言う奴か?」
「ああ、そうだぞ、だけど私の手元には今でも既に400本程もあるので特に売る気も無い、飲んでおけ。」
呆れて開いた口が塞がらないと言った感じのジェイを尻目に、クリスと二人で診察を始めた。
「師匠、こっちの人が一番酷いみたい、この人をお願いします。」
「よし、じゃあクリスはこっちの女性を頼む。」
「はい。」
「成程、これはかなり酷いな、おい、君、意識はあるか?」
「ああ、天使様か、とうとうお迎えが来たようだ。」
「こら、勝手に死ぬな、私はお前をこれから治療しようと言うのだが?」
「な、治る、のか?」
「その治るかどうかが問題なのだが、両腕の骨が粉々に砕けている状態でな、肋骨も4本折れている、トラックと喧嘩したみたいになってるんだ、ここまでになってて良くまだ生きててくれたよ、そこで君に質問なんだが。」
「治ると言うなら何でもする、何が聞きたいんだ?」
「お前の両腕はもうハッキリ言って使い物にならないだろう、粉々になった骨もあちこちに飛び散ってしまって居るし、そのお陰で筋組織もズタズタだ、そこで提案なんだが、治療費までは取らないが、切断して冒険者を辞めるか、それとも高い金払って動く義手を両腕に仕込むかなんだが。」
「その義手って奴は?」
「お前の脳波を読み取ってお前の動かそうとした通りに動く魔道具の腕だ。」
「また、戦えるなら、やってくれ。」
「判った、クリス! 3人の治療は任せる、緊急オペだ!」
「そう言うと思ったわ、任せて師匠。」
エレベーターで私の部屋の隣の空き部屋へ運ぶ、その間に部屋を模様替えして置く、オペ・モードだ。
手術室と化した部屋へと運び込むと、早速カプセルポッドへと移し、電脳化手術をAIに委託。
その間に私は、両腕の義手を成型に掛かる。
腕の太さはこんな物だろう、パワーは私の知り合いでは無いのでそこそこの強さに留めて置くか・・・とは言っても普通の人間よりは強くなるだろうから妥協して欲しいな。
両肩から先を、義手に変える為の処置として、不必要な組織は全て排して切除して行く、この辺りの処置も、ポッドの内部で出来てしまうのだからオペ室に変更出来るモードを用意して置いて良かった。
新型の義手を丁寧に調整し、両腕のナノマシンケースにメンテナンスマシンと、私への報告を上げる為の連絡用マシンを突っ込んでおく。
何でこんな面倒な事をするかってぇと、今回の電脳は独立型の簡易な物にする積りなので、私の電脳保有のクラウドとの共有はしないつもりだからだ。
ちなみに、以前よりも新型の義体はコントロールが容易になって居るので今回は出力も低めに設定する事もあり、訓練は必要ない。
ポッド内にいる間に、肋骨等の他の怪我も治しておく。
そしてこの人、中々面白そうなジョブへの適性が有ったのでその適正を少しだけ強化して置いた。
何ってね、今まではただの戦士職でショートソード盾持ちのごくごく普通のジョブだったんだけど、私の見立てだと、盾が要らない、パリイ型、つまり回避盾の適性が高かったのだ。
キースの様な大剣はあまり得意では無さそうなので、ロングソード両手持ち、もしくは居合い抜きの様な一撃必殺カウンターの方が適性があった。
少しだけ電脳にその為の戦い方をインストールして置いてやる事にした。
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「お待たせ、お、流石クリスだ、もう全員立って歩けるくらいになったのか。」
「おお、エリーさんありがとう、あいつは?」
「もう大丈夫だ、まだ寝てるが、以前よりもずっと強くなったんじゃ無いかと思うぞ?」
「またやったの?
師匠は直ぐやり過ぎるんだから。」
「あのなクリス、師匠じゃないっつーの、それに又って何だ又って。」
そんな会話をしていると、周囲の索敵とこのパーティーを襲ったと思われる大型の魔物を探しに行って居たキース、カイエン、マカンヌ、ザインの4人が戻って来た。
どうやら倒して来たらしい、カイエンの担いで居るその魔物は、とても厄介な魔物、カトブレパスだった。
こいつに噛まれると、石になってしまうと言われている。
種を明かすと、実の所、こいつの唾液は空気に触れると固まると言う妙な特性が有る為に、表面に付着した唾液が固まる為にこう言われて居る。
「こんなのが居たんじゃ普通の冒険者では壊滅するわ、良く持ちこたえたなアンタら。」
「ああ、俺も良く生きてたと思うよ。
ただな、こいつらを守らなくちゃって必死だったんだけど、不思議と力が湧きだす感じで、盾がこんなに成っても踏ん張れたんだよ。」
そう言って問題の盾を見せてくれるが、両手で持ち上げるような巨大な鉄製の盾の角が全て内側に撒かれた状態、もっと言うと完全に原型は留めていないと言っても良い程に歪み、拉げていた。
「フーム、これは興味深いね、この盾、私の研究材料として貰っても良いか?」
「まぁ使い物には成らんだろうから良いけどよ、それの代わりが無いと俺も困るんだ、せめて下取りに出して新品をと思ってたんでな、唯でとは・・・」
「勿論ただでとは言わん、代わりに私が今この場で盾を作ってやる。」
「へ? 作る?今この場で???」
「ほら始まった、エリーは直ぐそうやって自分だけ突っ走るんだ。」
キース、余計なお世話だ。
「ちょっと待ってろよ?えーっと、どうするかな・・・出来るだけ軽くて頑丈なのが良いだろうし・・・ン~・・・」
「そんな言うけど素材の金属が無いだろ?」
「大丈夫、うちの師匠にそう言う常識は通用しないから。」
クリスもあきれ顔だ。
「すると、先ずオーガニウムだろ?
それに、やっぱこいつは外せないだろ、日緋色金。
それと、やっぱ柔軟性と剛性を出すなら、こいつか、モリブデン。」
独り言を言って居る事には自覚は無いけど兎に角素材を収納から出しつつ独り言を言ってたらしい。
「こう言う時、ハイエルフ様は、周り見えてない。」
ザインも変な注釈入れんな、ハイエルフじゃ無いしな。
「んじゃ錬成始めるか・・・、お?錬金レベルがMAXになってたんだよな、で?
行きついた新スキルが・・・創生・・・意味的には世界の始まりって意味、っつー事は思いついたもの何でも作り出せるって事になるんだけど、前回試して居ない物が出来たらマジヤバいスキル確定と言う事で。」
おふざけで、ガン〇リウムαを想像して創造して見たら、何も無い空間から出現・・・マジか、これはダメな奴でしょ、完全に・・・
じゃあ・・・サイ〇フレーム・・・、出たよ・・・。
私って何?どこに行き着くの、これ。
これってνなアレとかNTD搭載のアレとか、赤いアレやコレが思いのままって事なの??
いやいや、無いっしょ!
って一人でいつまでも盾の錬成しないで居たら、オーブが覗き込んで来た。
「にゃにしてるにゃ?師匠。」
「あ、いや、ちょっと自分のアレなコレでアレやコレしてたらアレな事になっててアレがナニしてそれで・・・ねぇ?」
「意味が解らにゃいにゃ?」
「いや、封印スキルが増えてたって事で、気にするな。」
「おお、封印できるスキルにゃ?便利そうだにゃ。」
「オーブ、たぶんそう言う意味じゃ無いわ、出鱈目すぎて使い道に困るから死蔵するスキルが増えちゃったって事よ、この場合・・・」
「流石、ハイエルフ様。」
「うぐ・・・クリス、何故それを・・・」
「そりゃ様子見てりゃ何だかわかるわよ、ねぇ皆。」
カイエン一家とキース、ザインが同時に口を揃えて言う。
「まぁね・・・」
うう・・・カレイラちゃんまで・・・解せぬ。
「だ、大丈夫! 気にするな、そんな可笑しなことになってる訳じゃ無いから!」
「だいじょばねぇだろ、それ、エリーの事だし。」
キースに又しても突っ込まれた、解せぬ。
大丈夫は大抵の事は何とか出来る魔法の言葉と聞いた事がある気がするんだけど?
おかしいなぁ~?
まぁいっか、気を取り直して錬成錬成っと。
あ、その前に、さっき見たジェイさんの鑑定ではMP割とあるんだよね。
ちょっと悪戯しとくか。
ナノマシンを盾に忍び込ませといて、マナ回路を構築させる。
で、盾を装備して居ればマナ回路が完成するような構造にしておく、んで、盾にマナを流し込むと、盾から光属性の盾と言うか、バリアが発生するようにする、当然ながら盾の内部のマナ回路の部分にだけはマナの高効率化の為にミスリル銀を多めに使用。
すると、偶然ではあるんだけど、光のバリアを構成する為に必要なマナ回路の形がバリアを発生させると浮き上がるようになるちょっとカッコイイ仕様になっちゃったんだけど、勿体無いから他の人にあげても良いかなぁ・・・
イヤでもジェイさんに作ったんだからジェイさんにあげるけどね。
そのマナ回路がかっこいいんだ、又。
なんて言うかこう、幾何学模様なんだけどさ、マジで何かの紋章みたいなんだ。
で、完成した盾、元の奴は縦長のだったんだけど、大型のカイトシールドって奴にして見た、を、ジェイさんに手渡す。
「ハイ完成、新しい盾、どうぞ。」
「な、今どうやって盾を作った??」
まぁそうなるわな、相変わらずの空中に変なエリアが出来てその中で錬成される、変な錬成だしな。
「あ、気にしたら負けよ、私の錬金スキルに錬金窯や錬金台必要無いんだもん。」
で、ジェイさんが盾を持つと、盾に仕込んだナノマシンがジェイさんにお引越しを始める。
「何だこの盾、見た目に反してなんだ?この軽さは。」
「軽くて頑丈なだけじゃ無いよ、マナを流してあげると、光の盾が盾全体を包むように、出て来る。」
「それってどうしたら良いんだ?ってかマナって何だ?」
「こいつ等守り抜くって決めた時に、在り得ない位の力が湧いて来たんだろ?
その力がマナの力だ。
試しに盾に集中して、さっき体験した事を思い出して守るって強く意識して。」
暫くすると盾が輝き出す。
そして盾の真ん中に、中心部から広がって行くように紋章が浮かび上がる。そして盾の淵からはみ出すように光の盾が一回り大きい盾の形に展開する。
「どう?素敵でしょう?」
「何だこれ、すげぇ・・・」
光の盾を展開する事に成功させた本人が一番驚いている。
「物は試し、カイエン、この普通の鋼の剣で攻撃して見てくれる?」
と言って鋼の剣を放り投げる。
「判った、やってみよう。」
上段から切りつけると、光の盾の淵でその攻撃は簡単に阻止され、その上鋼の剣は、アッサリと折れてしまった。
「ね、こんな盾なら一生使えるかも知れないでしょう?」
「す、凄まじいな、確かに一生ものかも知れないけど、良いのか? こんなすごいもの頂いてしまって。」
「言ったでしょう?さっきの盾の残骸を頂く代わりの盾を用意するって、気にしないでね?」
「しかし・・・」
「私はあなたが使って居た盾に記憶して居る物の記憶と言うのに興味が有るの。
物には歴史があって、ちゃんとそれを覚えている。
だからこの使い込まれた盾が、どのようにしてここまでの姿になったかが、ちゃんと解析すれば解るのよ。
そしてそれを研究する事で、もっと性能の高い盾を作るためのフィードバックが取れる。
この盾の犠牲が新しいより良い盾の糧となるって事。
だからもしも今差し上げた盾が壊れる事があったら、捨てないで取って置いて私に預けて欲しい。
私はこう見えて錬金術師、生産職だから、盾が壊れるまでのデータはとても興味が有る。
だから私が今作れる一番の盾を貴方の盾のデータを買い取る為の報酬として差し上げたの、不服だったかしら?」
「いや、そう言う事なら、此方こそ有り難く使わせてもらおう。」
「へぇ~、師匠って伊達に錬金術師って名乗って無いんだにゃ?」
「オーブ、それは私を何だと思って発言したのかな?
私は格闘家でも魔王でも無いよ、私のジョブはあくまでも錬金術師だからね?
だからあんたの師匠になんか一度もなった記憶は無いの、それとも錬金術に興味あるの?」
「そんな事言うにゃよ、師匠は師匠にゃ、アタイを姉弟子クリスみたいに強くして欲しいのにゃ。
戦い方いっぱい知ってるんだろ、師匠。」
「やれやれ、猫は電脳化がご希望って事なの?」
「その電なんちゃらは知らにゃいけど、アタイも強くなりたいにゃ。」
「だってさ、クリス、稽古つけてあげて。」
「ちょ!あたしに振らないで! 師匠~!?」
「だから私は弟子取った覚えなんか一度も無いって言ってんの、あんたが師匠なんて言い出すからおかしな事になったんだから少しは責任取りなさい。」
「姉弟子ぃ~、稽古つけて欲しいにゃぁ~。」
「ってオーブはあの人に稽古つけて貰ってたんじゃ無いの?
何で逃げて来てんのよ!」
「いやにゃ、アイツの稽古は稽古じゃにゃいにゃ!
あいつのは拷問とかいじめって言うのにゃ!」
「もう~、キース助けて~。」
「俺は格闘術は無理だぞ、頑張れクリス。」
キースもニヤニヤ笑って遠巻きに見ているのだった。
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