第118話 港街へ

          港街へ

 今回の慰問で、実は結構な収穫はあった。

 ジェシカちゃんと言うシスターは、孤児になった理由が、両親に気味悪がられて捨てられたと言う経緯がある事が判った。

 何でそんな事になって居るかと言うと、彼女にヒールを掛けているときに解ったのだが、彼女には魔力回路が備わって居たのだ、そんなに大掛かりな物では無く、大した魔法が使えるような物では無かったが、それでも確かにそれは彼女の中に存在した。

 そこで私は、彼女の魔力回路を改造する事にし、ヒールのついでにナノマシンを寄生させていた。

 そしてもう一つ驚いた事に、この施設の孤児の中には、魔力回路を潰されたかのように、途中から焼失している子供が実に2人も居たのだ。

 男の子一人、女の子一人。

 男の子の鑑定結果的には、精霊召喚師に向いて居そうなマナタンク型。

 女の子の方は、忍術から私が発展させた、触媒型魔術を使う、魔術使いタイプ。

 魔法使いと魔術使いの差は、触媒を必要とするか、必要では無いかと言う差に限定される。

 魔法使いの方は、得意な属性、苦手な属性が有り、属性によっては一切発動する事は無いが、魔術使いであれば、使用する触媒の魔法が発動する事になるので、ほぼ全属性が使える事になる訳だ。

 魔法使いの方の利点は、私はたまにカッコつけて詠唱してるけど詠唱は要らないわ触媒も要らないので発動が早い事。

 逆に魔術使いは、触媒を必要とする為に、魔法毎に触媒を用意しなければならない、事前に作っておく方法もあるが、整理整頓がどんなにうまい人でもその場にあった魔法をチョイスしてその魔法の触媒を取り出して投げなければいけないので手間暇は掛かる、ここに少しタイムラグが出来る。

 でも魔術使いは、忍術と一緒で、マナ使用量が少なくても大きな魔法を発動できるので、能力は高く無いが器用に何でも熟すタイプ、所謂器用貧乏な人にはお勧めだ。

 器用貧乏さんも日の目を見る事が出来るように、私が考え抜いて、忍術を解析した結果で完成したのだった。

 取り合えず、ジェシカちゃんには医療魔法が向いて居そうなので、医療魔法と医術の教本をプレゼント。

 独学で頑張って使えるようになってね。

 ここでは電脳化とかする気は、今の所ないし。

 ンで、男の子の方、精霊魔導士になれそうなマルコ君には、お作法用の変身キット男の子用、【ウルトラ愛】を用意しつつ、精霊の呼び方などを教示、その為の教本も作っといて良かったと思いつつ、手渡した。

 ウルトラ愛ってふざけたネーミングだろ?私もそう思う。

 これをメガネのように目の前に持って行くと変身が発動、タ〇シード仮面みたいな姿になるのだ。

 で、だ、なにもザインの様に上位精霊を呼び出す必要性もそうない筈なので、下位の精霊でもそれなりの魔法は使えると言う設定をようやく生かせるのでは無いかと思って居る。

 ザインのマナ量は規格外だからね・・・と、ザインの数倍の私が言うなっつー話ではあるけど。

 で、女の子の方、魔術使いになる子の方ね、この子には、魔方陣と言うか、魔道文字としてナノマシンに命令する為のコマンド文字を記した辞書をプレゼント、この文字をうまく組み合わせてコマンドを作って貰い、そのコマンドを書いた紙を触媒にして、マナを注ぎながら投げれば魔法が発動すると言う物だ。

 上手く使えば連続魔法も可能だし、マナ消費量も最小で済む、その上戦い方次第では魔法職最強にもなり得る。

 まぁ所謂、プログラミングを覚えて貰って間接的に魔法発現用ナノマシンに命令を出して貰えば後は周囲の魔素を使ってナノマシンが命令道理の現象を再現するのだから、下手にすればメテオや、アルテマ、私とラムのインドラの様な極大魔法も再現可能になると言う訳。貴方達には才能が有るからと言ってその三人には本をプレゼントした訳である。

 数年後にはこの孤児院から立派な魔法職が現れる事でしょう。

 魔法職に成り得る子供達だけではなく、他の子供達にも色々な才能が有ったのは事実なので、その子達がマナを使い熟せるように、身体強化等の仕組みを教科書にした教本もしっかり何冊か置いて行く事にした。

 魔力回路は基本的に体内に向ける物だけは誰しも持ち合わせて居る事も判って居るから、それを覚醒させれば身体強化なんか誰にでも出来るのだよ、実はね。

 だから、ある者は火事場の馬鹿力と言う奴として身体強化が発動し、又ある者は怒りから怒髪天と言う種類の身体強化が発動する。

 そして更に、例えばなのだが、信じる力を糧として、武闘家等が気功と称したマナ循環法で自己回復のチャクラを発現したりする訳だ。

 下手にすると外側にマナを攻撃の為に発射する外気功などと言うトンデモ技術から気功弾、〇メハメ波みたいなの?

 を再現するに至る達人も、実はすでに数名は確認出来てたりするんだけどね、あのオーブの兄弟子のオネエも使えるはずだ。

 そこに至る可能性も無くは無いだろう。

 兎に角ここの孤児院の子達が理不尽に死んだりするのだけはこれで避けられる可能性が上がったと言う事で、一応満足した。

 あ、そう言えば錬金術師向きの賢い子も居たので錬金術関連の本も用意して見ました。

 基本錬金術は闇魔法がベースになる筈なので、闇魔法のコマンド魔法方陣を書く為の教本や、錬成の為の対価などを全て記した本になって居ると思うけど、こっちに関しては、スキルで勝手に発動しちゃう私には感覚的な事しか解らないので後は闇魔法ナノマシンとそのコマンドで再現して貰おうと言う事でこんな具合になった訳なんだけどね。

 余談だけど、ちなみに私の錬金術はカンストして、創生術と言う新たなステージに至ったらしい。

 どういう術かってぇと、何もねぇ空間から剣とか作れちゃったりする、いわゆる物質創生と言う事らしいんだ、わたしゃ神様になった気は無いんだけどね・・・物質変換も出来ちゃうしさぁ、どうなってんの私のスキル。

 土掴んで投げたらそれが空中で金属に化けたりするんだぜ?もう無茶苦茶だろ?

 でも、お陰で私の恥ずかしい変身も物質変換ですげースムーズに瞬間早着替えに成ったんだよね・・・・嬉しくねぇけど。

 まぁ、兎に角ここの教会には、勉強して自力で勝ち取って貰いたいので、そんな具合に私著の教科書を寄贈した。

 勿論ポーションの作り方を理論的に記した物もありますよ。

 自力でポーション作って下さい。

 後日談だが、ここの教会発のポーションが2か月後には流通し始めてしまい驚く事になるのだ。

 まぁ多分、錬金術師の子が賢かったので、魔法使える誰かにマナを注いで作って貰った薬草を使って、教科書丸暗記して錬成魔方陣で強引に作ったのだろうとは思うんだけどね。

 理論的にはそれでも出来るしな。

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 こうしてファーミリオンでの用は大抵終わったので、深夜でも気兼ねなく移動出来る我々は、夕刻だと言うのにここから西の港町へと移動を開始するのであった。

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