第38話 その晩・・・
その晩・・・
面接が終わってみれば、結局もう夕方、今日はクエストどころでは無かったな・・・
少し早いが、宿に戻ってナノマシンの補充でもしておくとしよう。
当然義体の自己修復用の奴だ、キースの右腕義体にも一応寄生させてある。
しかし、自己修復が有っても、彼の場合、全身義体では無い為に徐々に強くして行くプログラムも彼の成長と足並みが揃うとは到底思えないので、推奨が出来ない為にその調整でメンテナンスが必要だと言ってある。
だけどカイエンさんの場合、全身義体が理想的なので、能力を100%に設定したナノマシンでも問題無いのだ、そうすると素材を外部から収集出来るナノマシンと自己修復専用のナノマシンの二種類を組み込む事で完璧な義体が完成するのだ。
まぁこっちはこっちで、中年オヤジの筋力から突然全盛期の10倍にもなるパワーを手に入れる訳だから、キースのように気を付けて生活しろ、で済むレベルでは無いのだ。
つまり訓練が必要となる、一長一短だね。
ナノマシンを培養し終えた私は、ストレージにしまい、就寝した。
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深夜、ふと周囲の警戒用ナノマシンがざわつくのを感じ、目を覚ました。
何だか不穏な気配を感じる。
と言うか、あえてその存在を誇示して居るかのような濃い気配だ。
私は、こっちから出向いてやろうと意気込んで出かける事にした。
場所は、この宿の斜向かい、割と大きめな公園になって居る敷地。
やはり、その気配は、殺気を隠す事も無く私に着いて来る感じだ。
公園内の一番広くなっている所で、牽制をしてみる事にした。
「どこのどなたかな?私を追い回すのは。
私のファンか何か?」
「やはり気付いて居たようだな、私の言う事を聞いてくれるならば悪いようにはしない。」
気付かない奴いるのか?あれで???
っつーかもしかして全然隠せていない事に気づいてないタイプ?
「それって!!
大人しく言う事を聞いて素直に肉便器になったら痛くしない、気持ち良くしてやるから言う通りにしろって言う変態さんの理屈!?
もしかして私ヤられちゃうのっ!?
廻されちゃうとか!?
そしてそのまま性奴隷として売られて行くのねっ!」
「あのな、そんな訳ねぇだろ!人聞き悪いぞ!」
「いや、十分人聞きの悪い要求突き付けてると思うんですが?」
「はぁ、ああ言えばこう言い返してくる、何て奴だ!」
「私はエリー!」
「名前聞いて無い!全く何なんだお前は!」
「私はただの冒険者だ!」
「やかましいわっ! いちいち斜め上に返すな!」
「にゃふまふいな~ん うぬうぬねねむ~のふんすん!」
「何言ってんのか解らん!」
「ぬぬいっつんは~むはぬん!」
「俺の真似してんのか?それ!」
「おんぬむねふめんな~、ふぬ!」
「「ふん~~!!」」
おこって地面を強く踏んで怒って居るので、私的にはもっと怒らせたいので変なポーズをとってやった。
「やって無い!」
「てってれ~!」
「てってれって言って無い!」
「てってれってれってれ~!」
「てってれって言って無いて言ってるだろ!」
「てってれってれってれ~てってれってれってれ~!」
「「ふん~~~~!!」」
「まねすんな!」
「まらどーな!」
「俺の名前はバドー!」
指をさしながら、「エロ―!」
「「ふん~~!!」」
「お前いい加減にしろ!」
「飽きた。」
「ふん~~~~~!!!!」
思いっきり新喜劇で2010年~2020年前後にやってたネタのオンパレードだと思うがかなり効果的に相手を怒らせる事が出来た。
私は楽しかったしな。
「で、何者?」
「私は魔王様の腹心でバドーと言う。」
冷静を装って居る様だが頭から湯気出している、怒りが収まらない冷静な判断の出来ない内に始末してしまうとしよう。
「何だ、大した事無いじゃないか、名も名乗らずに用件だけ伝えようとするから私の揶揄いの対象になるのだ。
親しい中にも礼儀ありと言う諺を知らんのか?
初見の相手に挨拶を蔑ろにして来るとは全く最近の若いもんは。」
「お前十分若いだろうが!」
「ふん、そう言うが貴様は何歳なのだ?中途半端に歳食ってたら承知しないからな!」
「俺はこう見えて140歳だ!」
「ふん!未だ小僧ではないか!私は735歳だ!何か文句あるか?」
「貴様の何処が700歳超えだと言うんだ!
その容姿でふざけた事を言うな!」
「ふん、人を見た目で判断する貴様がどうかして居るぞ!
私は735歳まで生きて転生して此処に居る、そしてその記憶を有して居るのだから735歳で間違い無かろう?!
何か文句でもあるか?!」
「な・・・貴様神の使途なのか!?」
「そんなこと知るか!私は何の説明も無くこの世界に放り出されたので私の好きなように生きると決めたのだ!
それを邪魔しようと立ちはだかるならば魔王だろうと国王だろうと容赦しないと決めたのだ、だから貴様は私の敵なのだ、さぁ死ね今すぐ死ね!」
ストレージから無反動砲を取り出して構える。
「ま、まて!俺はあの勇者に肩入れするのを辞めて欲しいと頼みに来ただけだ!」
「知るか、私は奴を助けると心に決めたのだからそれを阻害する貴様は敵だ。
だからいっぺん死んで見たら良いよと優しく言ってるでしょうが、素直にお縄に着け。」
「貴様の言語力には少々無理が有る気がするが、死ぬわけにはいかん。」
「知らん、死んで来なさい。」
引き金を引いたら、飛び出したグレネードをよけやがった。
「ひと思いに爆殺で痛みを感じる前に殺してやろうと思ったのに避けるな!ならばこれだ! こっちは痛いぞ!」
ミニ・ガンを取り出して乱射。
流石に避け切れないらしく段々ボロボロになって行き、そのうち、掌が吹っ飛び、膝から下が吹っ飛び、四肢が無くなった時点でチェックメイト。
「さぁ、心おきなくいっぺん死んで来たら良いと思うよ♡」
と言って私はその魔人の口に手榴弾を突っ込んでその場を後にした。
「何が悪いって私の安眠を妨害したのが最大に悪いんだよ、迷わず成仏してくれると有り難いね。」
しかし、魔王の腹心とか言ってたな、あれが魔人か、腹心とか言う割にはむっちゃ弱かったけど、あれだけからかって怒らせても魔法の一つも撃たなかったと言う事はやはり魔法が無いのではないか?この世界。
しかし魔法の一つも無くて何が魔王だ、何が魔人だと言うものか、確かに身体能力は高かったように思えるけどますます意味不明だ。
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