第35話 やりすぎ2

          やりすぎ2

 あの後、キースとクリスが大変だった、吹っ飛ばされたキースは目覚めた瞬間にクリスに摺り漕ぎみたいな形をした薬師の杖って名前の杖で叩かれて弁解の余地も無いうちにもう一度気絶するわ、ザインと私でそれ以上やったら死んじゃうからと言って止めるも身体強化が切れて無くて食い止めるのに必死だわで、かなりカオスだった。

 さらに身体強化が切れた時にはクリスのマナが切れてプシューって感じで崩れ落ちるように倒れるわで今度はザインと二人でキースとクリスの介抱になっちゃうわ、ひたすら大変だった。

 そんなことやってたら回収班が帰って来て、ギルマスに茶化された。

「何やってんだ、お前ら・・・どんな状況だよ、まったく。」

 っつって笑われた。

 まぁ、キースの腕がちゃんとあった事には驚いてたけどね。

 それで、二人とも目を覚まさないので放って置く事にして、37体のビッグベアの大解体大会が始まりです。

 解体料金が貰えるっつー事でみんなノリノリだったね。

 この巨大解体施設を所狭しと一斉に始まった解体大会、皆、出来るだけ早く出来るだけ丁寧にと頑張ってくれたので、報酬だけではなく後で宴会でも開いてあげようかな。

 流石にCクラスの冒険者さん達にもなると手慣れたもので早かったよね。

「みんなお疲れ様~、運んでくれた人も解体してくれた人も皆ありがとー、今日は私の奢りだぁ~!」

「「「「「「「「「「「「おお~~~~~~~!まじかぁ~~~!!!」」」」」」」」」」」」

 この後に、私は太っ腹のお嬢ちゃんと呼ばれるようになってしまった・・・太って無いってば、解せぬ・・・

 宴会の真っ最中にようやく意識を取り戻したキースが、私の所へやって来た。

「よう、全員に奢ってやってるんだってな、色々悪かったな、本来なら俺が驕ってやらなくちゃいけねぇ所だ。」

「気にするな、私はこいつ等に熊は運ばせるわ解体はやらせるわで何もしなかったからな、報酬のオマケの積りだし、あれだけの熊の素材売ったらこんな宴会の金額なんて些細な出費だし。

 あ、それと、これ、キースの分ね。」

 金貨の入った袋を手渡す。

「これは治療費に取っとけ。」

「ほら、又そう言う事言う、私さっき言ったよな?

 治療費なんか取らないって。」

「はっはっは、すまん、そうだった、そう言う奴だったよな、お前は、幼女の癖して男前だよな、ホントに。」

「うるさい、お前に言われたくねぇし、しかも幼女って言うな。」

 と言って笑いあった、なんか変な友情みたいの芽生えちゃった気がするけど、クリスちゃんのポジション取る気は更々無いからな。

「でよ、どうせまた、飲みたくてもここのおばちゃんに阻止されて飲めねぇんだろ? この腕の性能試したいんだけどちょっとそこまで付き合えよ。」

「そういう事ならいいだろう、但し、勘違いされても困るからクリスが起きてから皆で行こうよ。」

 そう言ってクリスが寝かされている第一応接室に入ると、丁度クリスが起きた所だった。

「あ、キース、ごめんね、なんかすごい力だったみたい、エリーも、ごめんなさい。」

「大丈夫だ、私の時には身体強化発動して無かったしな、まだ。」

「すまん、謝るのは俺だ、シャレにならん冗談だった、反省してる。」

「キース・・・」

「ごめんな、クリス・・・」

 なんかこいつらラブラブオーラ全開ンなってるんだけど、私は何を見せられてるのだ?

「つーか、クリスもちょっと顔出せ、俺の新しい腕の性能試したいんだ、ここだと宴会の真っ最中だからよ、門の外で試すぜ。」

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 今まで右手で抜いた大剣を両手で支持し、振るにも両手でしっかりグリップして振るって居た大剣を、キースはやすやすと右手一本で振り回してみせたので、私は試しに左でも出来るだろうと言うと、案の定左でも振り回せる事が判ったキースは、不思議そうだったので、説明をしてやった。

 右手だけ強化するとバランスが悪くて右腕に体全体が振り回されることになるのであえて身体能力を全体的に強化させた事、右腕の重さを支えて体のバランスを取る為にもそれは必要不可欠だったことを言うと、納得して居たがそれ以上に強くなった事に感激をして居た。

 それにしても大剣一振りであの大木が根元でバッサリ切れて倒れたのは計算以上だった、やりすぎたな、こりゃ・・・

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