第6話 エリーの過去1

          エリーの過去1

 地球連邦ネオオキナワ星系ネオナハ駐屯軍所属第一艦隊旗艦ニイライカナイ2世号による"ゆぐどらしる"の試験運用が成功して数か月が過ぎている。

 私は"ゆぐどらしる"を量産化する為に、コストをいかに削るかを開発チームのチームリーダーとして喧々諤々の毎日を過ごしている。

 非常に充実した時間であり、私が大好きな時間だ。

 こんな時間を何度でも味わいたいが為に私はこうして700年間生きながらえて来たのだ。

 まぁ、それは建前でもあり半ば本音でもある。

 本当の本音は、最後まで守ってやれなかった、この手で育ててやれなかった唯一人の娘の子孫を守りたかったからだ。

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 元はと言えばアニオタの腐女子だった私は、アニメ好きが高じて数百年前のアニメ等も大棟網羅していた程の子供であったが、ある時ふと気が付いたのだ。

 攻殻〇動隊なるアニメの舞台になる年代を過ぎているのに未だそこまで技術は進歩して居なかったのだ。

 それよりも大昔の、世界初のSFアニメと言われた鉄腕〇トムで登場したと言われる携帯電話は、その時代よりも早くに現実の物となって居たのにである。

 その時に私は、自分がそんな時代を作ってやると心に誓ったのだ。

 少し複雑な身の上だった私は、様々な人に頼って生きて来た。

 少し長くなるので其処は今は割愛して置くが、その日から私は、人が変わったように勉強をし、大学へ主席入学を果たした。

 そして誰もしなかったような実験等を繰り返した、当時、某大国にて就学中だった私は、すでに物理学の博士号を取得して居て、教授からも一目を置かれて居た為に、ちゃんと脳波に反応して動く義手、義足等の論文は直ぐに認められた、企業からも引き抜きが来ていたが、それよりも各国からのオファーや、誘拐を企てる連中や暗殺を目的とした組織まで様々な方面から私の知識は狙われる事となった。

 それがきっかけで、私は自らの体を捨て全身を機械化、全身義体を完成させ自らが実験体となる決心をした。

 人の数倍の跳躍力と数倍の腕力を生み出す超電磁モーター制御の人工筋肉で構成された手足、人工皮膚で一見人と変わらないが、新素材を使った弾丸も弾く外郭を持った義体を作り、私の事を非常に心配して協力してくれた恩師の手によって、私の脳神経系は丁寧にソケットへと保護され、サポートの為の電脳装着も終了し、義体へとビルトインされた。

 世界が変わった瞬間であった。

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