第15話  閑話  side執事


魅了というものは、知力や理性を鈍らせ、相手のことしか考えられなくなる。といった作用があり、精神力による差でかかり具合も変わります。




元々、末っ子で甘やかされていた私は、男爵家待望の女の子が産まれるという段階で、甘やかし要員である家族が獲られる!と、割りと妹に敵愾心を持っていたので魅了にかかりにくい状態でした。




魅了のかかりが甘く、対抗するべく精神耐性が生えましたが魅了状態には変わらず。



他よりマシだったので放置されましたが、軽犯罪程度ならバレなければ良し!みたいな理性の鈍りかたをしてました。




それがまさか、三歳の坊っちゃんにクリーンをかけられて魅了の後遺症がさっぱり消えるとは思いもしていませんでした。




というわけで、私は坊っちゃんのために働くことにしたのです。




まぁ、坊っちゃんの資産管理が主な仕事です。あとは一般常識を教える程度です。




坊っちゃんの家族は役に立たないので、メイドと協力して、坊っちゃんのお世話をします。まぁ、お世話になってるのは我々のほうかもしれませんが………




そんなある日のこと、奴隷商人の店に捨て値で妙にキラキラしい見た目の薄汚れた男が売られていました。




はい、妹被害者の侯爵令息です。あ、元侯爵令息です。



鑑定して、ビックリしました。




商人に話を聞くと、魅了事件は有名で、後遺症があるから見た目が良くても売れないらしい。



というか、放逐の噂は聞いてたけど奴隷に堕ちてるとは………………え?元は借金奴隷?他国に売られて借金は返済できたが、奴隷の身分から解放する金が無い?他国でも後遺症のせいで売りに出されて、この国に帰ってきた?




マジ、妹が申し訳ない。



というわけで。捨て値売りだったし、買いました。



坊っちゃんにクリーンしてもらいましょう!元々保護していたとか言っとけば、坊っちゃんなら「クリーンさせる気だなぁっ!」とか言いながらやってくれるはず。




あ、そうそう。





「坊っちゃん、人の感情パターンを学ぶなら恋愛小説がオススメです」




「四歳だから恋愛はまだいいの!まずは喜怒哀楽からでしょっ!」







あはははは、坊っちゃんはやっぱり面白いなぁ。





種族や耐性関係なく、無情なんだから魅了されるわけ無いじゃないですか。まったく、いつ気が付くのやら………

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