37話 殺しの極意
辺りを闇に包まれた部屋。
「烏丸一心、BLACK...君には心底残念だよ。単騎で攻めてくるなんて愚かだね〜。誰に教育してもらったかな?殺しの極意を!!」
口を噛み締める。
「俺の先生は昔も今も変わらねえ」
「そうか...なら、よかった。こいつを殺せ」
恐ろしい笑顔。一心の頭を狙い指す4つの銃。
ケビン キース 庵野 プルテンチョフ
「BLACKくん、君は私の計画の礎となりたまえ。まあ誰も覚えてはくれはしないけどな」
一心は斬りつけたナイフを投げ捨て、両手を上げた。
「...残念だが、君の計画はおじゃんだ」
4人の育成者は発砲した。
▪︎
「美帆...?」
吹っ飛ばされた春。そして、親愛なる友に刺された雫。意識は遠のく。私は親友に殺されるのか...
雫の目には光り輝く眩い影が立っていた。
〜数分前〜
「春...いや、DEAD。あの子を...殺して...」
苦渋の選択をする。雫は手のひらを春の身体の心臓付近に当てて能力を発動させる。
「了解。姉貴。」
DEADの得意とする捻くれ戦術。彼女に銃を放つと同時に殴りかかる。もちろん常人はどちらも防ごうとする。その隙をついて、防御の薄い足元を掬わせる。だけれども、彼女はそれを逆手にとってDEADの殴りかかるスピードと同じくらいの速度で銃弾を跳ね除け、急所を的確に蹴る。
吹っ飛ばされたDEAD。
「こいつ、強い...」
そう悟った彼は久しぶりの強敵にワクワクしていた。
▪︎
春の家は父子家庭。なぜ母がいないのか、わからなかった。父に聞いても後回しにされる。でも、子供の頃から何かを感じていた。自分の中に誰かがいると...
人格はいわばコンピュータのように自在に他者を媒介することできる。DEADの人格は元々母の別人格だったもの。それが母が亡くなったことにより子供の俺のもとにやってきた。世界はうまくできている。
母はとある殺し屋組織の研究員だそうだ。その研究の一環で彼女に別人格を植え込むプログラムを受諾した。そこから、彼女の殺し屋生活が始まった。
「ははは!!私は
母は明るい性格だった。その性格も相まってかすぐに別人格と調和し始めた。みるみる成長を遂げ、殺し屋界隈で知らない人はいないほど有名になっていた。死なんて恐怖しない、殺伐とした雰囲気からDEADと呼ばれた金城の別人格。母の研究成果が成功に近づいた。
『なあ、友奈...お前はいつも何を見ている』
「DEAD、人ってね感情で動くんだ」
友奈は語り出す。
「その時の感情で、褒め合ったり傷つけ合ったりする生き物さ。私はね、ヒトのことをただ知りたいだけなんだ...」
友奈の表情はいつもとは違う。でも、DEADは知っていた。彼女の記憶を共有しているから。かつて今とは想像つかないほど無機質だった彼女の壮絶な学生生活を。
それから数年後、彼女は愛を見つけた。道を歩いていると肩を叩く男性。
「あ...あの!お茶でもしませんか?」
新手のナンパだ。普通にこの後研究の発表があったのだが、ちょいと強引で困っていた。そこを助ける正義のヒーロー...いや、ハゲている!?それが春の父との出会いだった。
だけど、それが間違いだった。彼との出会いが友奈を変えさせた。彼女はもう二度と研究をしなくなった。さらにDEADとの対話も無くなった。
研究ファイルを全て消去してしまった友奈は組織の厄介者として狙われることとなる。子どもを授かった彼女は父に託してこう言った。
「私ね、多分...いやこの子をずっと守って!愛してる...」
そう言い、彼のもとを去った。彼女がどこに行ったのかはわからないが、のちに死体となって発見されたと市内の警察から言われた。
DEADは臍の緒を媒介に彼女の子どもの精神に入り込んでいた。
▪︎
去年の文化祭の時、組織にこの人格が発見された。そして言われるがままに美帆のお母さんを殺してしまった。彼はいったいその時どうすればよかったのかわからなかった。でも、DEADはふと涙を流し泣いていた。俺は気づいている。俺の母さんと合わせたんだな。
「なあ、DEAD」
『お?ついに私に話しかけられるようになったか?』
「俺の母さんはどんな人だった?」
『...明るくて心優しい人だったよ』
「美帆は殺さない」
『...わかった、彼女を正気に戻せばいいのだな?』
「よろしく頼む!DEAD!!」
彼らは美帆?と戦闘を開始した。
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