36話 雨の音
「今日から君はRAIN、雨音を轟かせてターゲットを翻弄する立派な殺し屋になるのよ」
そう言い聞かした彼女の名は、ミッシェル。アルマダ国の殺し屋教育専門の育成者であった。私が10になるまでずっと私自身を立派な殺し屋にすべく手厚いサポートをしていた。彼女が裏切り者として処罰、殺されるまでは・・・
彼女のおかげで私の心の半分は人間として保ち続けていた。きっと彼女ではなかったら、こんなことしてないし、血に飢えたハイエナだっただろう。彼女が某国のスパイであるのが判明さえしなけらば私は普通の生活を望めたの?
人として生まれ、友達を作り、結婚し、出産し、老夫婦になり、死ぬまで幸せに生きれたの?私をどうにか救ってくれたの?
今となってはもうわからない。ああ、生まれ変わったら次は幸せな普通の人生が送りたいな。
RAINの身体はぱらついてきた雨により、だんだん冷たくなっていく。
◾️
この国のもとに一機の飛行機が降り立った。
「春、ついに来たよネパール!!」
天気は良好。着陸時間も予定通り。
「やっと着いたね...」
足がガクガクブルブルさせている春。高所恐怖症である。
「なんで、俺窓側なんだよ...」
「景色良かったからいいじゃん!!」
顔色悪い彼と初海外で浮かれている彼女。こんな楽しそうだが、数時間後どちらも辛く衝撃展開が待ち受けるとはこの時は知らなかった...密林を歩く二人辛い。虫はおるわ、蛇はおるわで疲れた。一体どこにアジトはあるのか。
森を抜け、辺りが開けた場所にでた。人が大量に倒れ込んでいる。
「何よ!ここ!」
「なんだ?!」
近づいてみたら、ただ気絶しているだけ。そんな彼らに夢中になりながらも、湿った地面の上を歩きながら美帆の反応があった場所へ向かう。
さらに別の密林へ入り、木をよかしながら別の平原に着く。ここでも、倒れている奴らがいる。その中の1人、見るも無惨な姿で血飛沫をあげた後があった。
どこかで...
雫はあることを察知した。誰かが近づいてくると。何か懐かしいような、嫌悪感を抱かせる。
「雫、やっぱ何かがおかしい」
春は違和感に気づく。
「...まさか、ね」
振り返ると、美帆がいた。だけれど、血の雨を浴び悲惨な姿での登場だった。
「みーっつけた♪」
かつての美帆はもうここにいない。
▪︎
煙草の煙を浴び、その様子をビデオで見る。
「ふふ、お邪魔虫は排除だ!」
背後に黒い影、彼の首元を斬りつける。
「なぜ、殺さない?」
「聞きたいことがあるからな」
「...同じく私も聞きたいことがあるさ。なぜお前がここに...!?」
闇夜を飛ぶ一匹の鳥、それは黒く同化しこう呼ばれた。
烏
「美帆をもとに戻せ!!アルバート!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます