ラストバトル

34話 楽しい修学旅行?


そして来たる修学旅行の日、クラスのみんなや学年揃って同じ飛行機に乗る中、私たちはあえて誰にも気づかれずに別の飛行機に乗ることに成功した。


もちろん事前にチケットは買ったからね?


ネパール行き、空の旅が今始まった。美帆を助けるための壮大な冒険の幕開けだ。



すでにネパールの地下深くを潜っていたBLACK。基地内はかなり入り組んでいていて元来た道を忘れそうだ。まさかこんなところにも組織は存在していたとは。世界にたくさん基地はあると聞いていたが、そのうち二つ三つぐらいしか知らなかった。俺たち殺し屋にさえ知られてない基地もあるみたいだな。この数カ月の調査の結果、わかったことだ。


他にも、奴らは超能力研究に尽力を注いでいたこと。の裏切りについて知ることができた。佐藤雫、君が超能力者であの人の娘だったなんてな...


漆山英樹、本当の名を佐藤英樹。彼はかつて組織の超能力者研究の第一責任者だった。だが、その研究の最中にバグが生じた。相生あいおい美佳子との出会い...



私は売れない漫画家、那須ミカコ。今夜も編集社に漫画の持ち込みをしたが、没されたばかり。それでも諦めない、人を感動させる世界一の漫画家になる夢を叶えるためには!!そんな夢とは裏腹に強い向かい風が吹き、私の持っていた没作品は飛び散った...。もういい。この作品はどうでもいい。そう思っていたら、肩を叩かれた。


「すみません、落としましたよ」


「いえ、これは...元々捨てるつもりだったから...」


その作品との思い入れを忘れようとした。その作品は私が高校の頃に思いついたヤツで、思い出深かった。そんな作品が没されたのだ。もう要らないと思って当然。もっと面白い作品が出来上がるはず。


「こんな面白い作品をほっとくなんてダメですよ!」


それを彼は褒めてくれた。同級生にも揶揄われ、編集者にも没されたあの作品を彼は...。それが私と彼との出会い...

雪が降り、辺りは一面を光の装飾が施された季節であった。



のちに彼らは結婚、一人娘に恵まれた。英樹は家族を守るため、この仕事のことは言ってない。ただのちっちゃな病院の見習い医師だと言う。ゆくゆく彼が研究するこの力が世界を救う力だと信じて...


しかし、そんな期待とは裏腹に事件は起きた。被験者の暴走・殺傷事件。この研究では、組織が攫ってきた孤児や元組織の裏切り野郎がその被験者に抜擢された。人の人生を奪うということも彼は重々承知だった。そんな被験者に対して何者かがあるものを投与した。そして、彼らは人ならざる異形に変わり、牢を破壊した。


それは瞬く間に組織を壊滅一歩手前まで進んだ。英樹はそのミスに責任があるとして、懸命に彼らの対処に励んだ。


超能力は人間の普段持つ資質を活性化してできる。そのために投与されるJOKER3というウイルス...

それが超能力の源、それを根本から砕くために、念の為中和剤を作っていた。そのウイルスを中和させ、普通の人間になることができるが、一度それを投与すれば二度と彼らは超能力に目覚めず、組織にとって多大な損害だと考えられていた。だが、実際は暴走を始めた。英樹はまた新たに作った中和剤を作り、ついにそれが成功した。


成功したが、これらの事件の全責任を彼が負うこととなったので、家族に危害が及ばないように二人に記憶を消す薬をすぐに飲ませ、彼女らと離れた。そして、彼はアルマダ国のトップの目の前でまたその薬を飲み、佐藤英樹はその場で消え、漆山英樹が誕生した。


◾️


以上、漆山英樹...いや、佐藤英樹の残された手記だ。これがなぜ遺っていたのかはわからない。でも、きっと英樹さんは...


今頃、雫と春は楽しい修学旅行をしている。きっと美帆と行きたかっただろうに。必ず助けるからな!


一心は己の心臓に誓った。

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