33話 不穏な?修学旅行

 

修学旅行予定日より1週間前、生徒らは期末試験をしている最中...

教師陣一同は会議を行なっていた。学校のもとへ届けられた一通の手紙。内容は脅迫文だ。


『シュウガクリョコウハジッコウスルナ、サモナイトセイトノイノチ、ナイトオモエ』


「うん、これは...脅迫だね〜」


学年主任のおっさんが言う。


「そんな...生徒の楽しみな修学旅行を無くすなんて...」


可愛らしい新任の女教師が言う。


「予定をずらすこと、旅行会社が良しとしてない。つまり中止か強行の二択しかない...」


中堅の男教師が言う。


「...事実この手紙が本気のやつなのかわからない。警備を強固にして強行するべきだわ」


西条琴美は言う。彼女はどうしても修学旅行を行なわないといけない。なぜなら...


この手紙、私が作ったものだもの!!!!


いや普通にガチの脅迫文ではないよ、『エスパーキル』の同人誌を作成するために作った補助的な道具なのよ。アニメ第13話、『来たる秋の修学旅行!俺は彼女を...!?』で出てきたイかれたサイコパス殺人鬼が学校側に送りつけた手紙なのよ〜!!それがなぜか学校にあってこういった騒動になっている。おそらく昨日夜通しでそれらを作っていて、たまたまカバンに入り込み、たまたまカバンから落っこちて、たまたま先生に見つかった。バレたら教師人生もオタク人生も終わりだ〜!!!なんとか自然に手紙を回収し、修学旅行を強行しなければ!!


「きっといたずらよ!実際に起きるわけないわよ」


そりゃあ製作者、私ですから。


「実際に起きなくても万が一の備えて中止にすべきではないか?」


「そうですねえ、生徒の思い出を取るか命を取るかと思えば...自然と前者を取るべきだと思います」


ダメだよ?それ、フィクションだから。絶対に生徒の命は保証されてるのよ?


「折衷案を取れば良いわよ、しっかりとした警備体制を図れば...」


「いや、うちにそんな金ないよ?公立だし」


お金なんか市が出せよ!と思ったがぐっと口を紡いだ。


「どうにかできないんですかね?」


少し疲れた。


「琴美先生、そんなに修学旅行が行いたいなんて...もしかして...」


まさかバレたのではないかと固唾を吞む。


「そんなに生徒思いなんですね!尊敬します!」


ふう、危なかった。


「私のせいだなんて...あ」


その場の空気は氷河期を迎えた。


⬛︎


その後、洗いざらい全てを同業者に伝えて、ただ笑い者にされてことなきを得た。私の趣味が初めてリアルに露出してしまった日であった。


そんなことがあったことを雫は教室で聞いていた。もちろん心読み取って。

(よかった、修学旅行は予定通りに行われる。)

安心とともに、ふと感じたこと。もし私が超能力者だということがみんなにバレたらどうなるだろうかと。あまり深く考えないでおこう。


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