冬の季節

28話 好きです!

白刃公園、寒々しい季節にて。

とあるベンチに座る2人。

昼にも関わらず、風が強く吹く。


「雫、なんか食べてきた?」


「いや...食べてないよ」


2人はそのまま公園を後にして、近場のファミレスに入った。そこで昼ごはんを食べ、春が切り出した。


「今日さ、映画の無料引換券もらったから、一緒に観に行かない?」


「...いいよ!観に行こ!」


佐藤雫は実は映画オタクであった。映画観終わったあとに、マシンガントークで今回見た映画について感想を力弁する方だった。今回観たのは、決死のラブロマンス。彼女が好きなジャンルはラブ。


1時間。


彼もその映画の感想を聞き、それについて議論した。最後に主人公はヒロインのために死んだのか、主人公がヒロインとは合わないと考え、死を偽装してどこかへ旅立ったのか。


そんな話をしながら、はじめの待ち合わせ場所へ戻ってきた。辺りもすっかりオレンジに染まる。街灯が点き始める。


「...今日は楽しかったね」


「そうだね」


2人の沈黙。さっきまでの熱はどこへ行ったのやら。


「今日さ、雫に伝えたいことがあって...えっと...」


春は雫へ真向かう。緊張感が走る。夕日をバックに2人の影は黒く大きくなる。


「俺、雫のことが...」


雫の目元に...


「ごめん、今なんだかそういう気持ちになれないの...えっと何か忘れているものがあるのよ。だから、また今度もう一回私にその続き...聞かせて」


実質肯定とも取れる言い草。雫の頭の中には全く別の存在がちらついている。


「わかった...その、雫が言ってる忘れもの。それを思い出したら、いつか必ず迎えに行くから!!」


「うん...今日はありがとね!楽しかったよ!またね」


雫は春のもとを離れた。いつかまた2人が...



RAINは優れた洗脳技術がある。組織の上層部に対してはなぜか効かないが。彼女の力で、かつて雨の弾丸と思ってたものが実際弾丸であった。弾丸を雨のような液体へと思わせる技術が彼女にはある。それでも敵が少しでもこれが嘘だとわかれば、洗脳は解ける。だから、彼女は洗脳精度向上と身体能力を活性化させようとする。


彼女のおかげで彼らに一心という存在が元々なかったかのように洗脳した。もちろん、一心を知る全ての人に。


一方、BLACKはとある山場にて修行をする。力、知恵、柔軟性を向上させる。そして、来たる4月1日。組織に対して宣戦布告をする予定。RAINやその他弱層ランクの殺し屋、延べ520人。


必ず奴らの野望はかなわせない。



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