26話 覚醒

雫は目を覚ました。


「え?え?春くん?あ、あの女!よくも美帆を...」


「違う!雫!こいつはもう大丈夫だ!!今は急に性格が変わった春...」


RAINはうなづく。


「ねえ、BLACK?聞いたことないか。組織で、あなた以外の最恐と呼ばれた殺し屋を!?」


「そんな、まさか...な」


一心は信じようとしない。春が組織側だと...

だが、雫は春が別のものに変わったと考える。


「春は操られてるだけ、彼の心の中で春と何がおぞましいものが戦ってる。」


雫はテレポートで上に上がり、近くの湖をバキュームで吸い上げる。その水を彼にテレキネシスで浮かせ、解除。ぶっかける。


「目を覚ませ!春!」



俺、一体ここで何やってんだ?


春は真っ暗な空間をただ漂う。何もない空間。

何か外から聞こえてくるが、それが一体何なのかわからない。


そこに赤い人影が見えてくる。


「mせ...」


「え?」


「sませ...hる」


だんだんと聞こえる声はどこかで聞いたことある声。忘れてはいけないもの。


それとは別に他の記憶がある。手に染まった血、その風景が何枚もフラッシュバックされる。その中に去年の文化祭が...


「はは、まさか、俺って...」


負の感情に苛まれようとする春。


『目を覚ませ!春!』


その声ははっきり聞こえた。



「我々の最終兵器、英樹が作り上げた悪の人格。アンタの発明、役にたくさん立ったぜ」


遠くから見つめる育成者。彼は今何を思うのか。




「アググ...」


春?は頭を抱える。


「春、戻ってきて!まだ...アンタに伝えなくちゃいけないことがあるんだって!?」


雫はチェンジを使う。春の中にある邪悪なものと雫の超能力をチェンジする。


「雫!お前、なにやってんだ!?」


一心は叫ぶ。


「わたしが私でなくても、春が救えるならこんな超能力、要らない!!!」


雫から光り輝くものが、春から邪悪に輝くものが出て、入れ替わろうとする。


パリンッ!!


春と雫は同時に倒れる。その場に残ったのは二つの輝くものを切り裂いた一心と、美帆を見守るRAINだった...


「RAIN、ここにいるみんなの記憶、消せないか?」

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