超能力の秘密
17話 超能力少女の衰退
街の中で最も大きな市立病院。
未だ眠る彼女の周りを4人で囲ってた。
彼女の母、そこそこ売れっ子漫画家の那須ミカコ、又の名を佐藤美佳子。
「みなさん、ありがとね...お見舞いに来てくれて...」
美帆、春、そして一心は雫のお見舞いに来ていたのだ。殺し屋として、美帆を殺す絶好のチャンスなはずなのに、あの時から一心は心が変わった、ような気がしていた。
そして、4人でおしゃべりを繰り返すこと数時間、もうそろそろで面会時間が切れる頃になった。3人は雫の母に別れを告げ、病院をあとにした。こんな時なんか、ターゲットを殺せるいいチャンスなはずなんだが、今の一心には暗殺はできない。
「雫ちゃん、まだ起きなかったな」
春が言う。
「そうね...雫、大丈夫かな...」
一心は気持ちの整理が追いついていない、あの時からずっと。一心の心に芽生えたこの高鳴りは一体何なのか。
そんな時、通信機が鳴った。
「ん?何だ、この着信音?」
「ああ、悪い。ちょっと、待ってくれるか?」
二人はその場で待つこととなり、一心はその場を離れ、通信機をとる。
「何だ?」
『私だ。』
「英樹さん...」
『任務は順調か?』
「...」
一心は黙ってしまった。
『そうか、さすがの君もダメか...よし、やっぱり俺も行く。お前のケアもしなくてはな。』
「...ありがとうございます」
『では、次の満月の夜に』
通信機は切れた。満月の日、あと3日...
彼がやってくる。一心の気持ちを治すために...
■雫の夢の中
私は夢を見ていた。幼い頃の記憶。母さんと父さんの思い出。母さんの顔ははっきり見えるのに、父さんの顔はあまりわからない。淡い記憶。しかし、声は覚えている。
「どうしてなの?なんで、そんなことを言うの?」
「すまない、雫のためなんだ...」
「...それしか、方法はないの?」
「...ああ」
私には、何がなんだかわからなかった。私のため?一体、どういうことなの?
「...これをすると、俺は君たちの記憶を失うし、美佳子たちも俺の記憶がなくなるんだ...すまない、美佳子。」
「え!嫌よ!私は...」
「でも、これも愛する娘のためだ!本当にすまない!」
父?はどこか遠くへ向かっていった。
「あなた!」
母は泣いているような気がした。
その時に、私は目覚めた。
■
真っ暗闇の病室、母さんが隣で眠っている。綺麗な満月が窓から見える。今日はなんだか、静かだなぁ...
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