18話 超能力少女の目覚め
大きな満月が空に出ている。
一心は現在、空港である人を待っていた。
漆山英樹。
BLACKにとって、子供の頃からお世話になり、最強の殺し屋とまで、言われるようになった。それに、依頼の中継人も賄う。感謝しきれない人物。
「久しぶりだな、BLACK」
「...まあ、一ヶ月ぐらいだけど...お久しぶりですね、英樹さん」
「...お前、変わっちまったな」
「え?」
「普段なら普通通り、なんもつっこもなかったのに...表の世界の光を浴びたせいか?」
確かに、一心の過ごした一ヶ月間は、一心の殺し屋としての仕事を一時忘れるほどの濃密な一ヶ月間だった。少し緩くなっているのは、一心も気づいていた。
「そうですか...」
「ま、そのために、私が来たのだからな。では、君のアジトの元へ向かおうか。」
「はい...」
二人は空港を離れ、一心の自宅兼アジトへ向かった。
■その道中...
もうじき、アジトの元へ着く一歩手前で、出会ってしまった。殿下美帆に。
「あ、一心くん!ちょうど、良かった!」
「え、あ...美帆さん」
「雫が目を覚ましたみたいなの?」
「こんな真夜中に?」
「そうだから、春も呼んで一緒に雫のとこに行く...こちらさんは誰?」
雫が目を覚ましたらしい。そして、自然と一心と一緒にいる男性が気になる。
「私は、烏丸英樹。この子の父親です。」
とっさに、英樹は偽名を用いた。
「あら、そうなの?」
「いつもお世話になっております、殿下美帆さん」
一通りの社交辞令を終えて、英樹が言う。
「まあ、とりあえず一心、病院の方へ行こうではないか?」
「え、でも...」
「まあまあ...美帆さん、私も行ってよろしいですか?」
「...えっと、多分?看護士さんが何て言うのかわからないけど...一緒に行きましょう!」
今宵は夜21時、若干寝かけていた春を叩き起こし、雫の元へ集まった。
そして、必然か偶然か、英樹は出会う。
■
201号室、お一人様の個室に入れられている少女が雫だ。
「おっはよ〜!雫〜!」
「...あ、美帆...!」
久々の再会。
「一心くんも、春くんも、来てくれたのね...」
雫は3人に対して安堵の笑顔を少し浮かべる。私はやっと戻ってこれたって...
しかし、雫は気づく。なぜか、あの一心の心が読めない、むしろみんなの声も!
そして、不安な顔に戻る。
「どうしたの?雫?」
「ううん、なんでもない」
とりあえず、今だけは不安な気持ちを隠し通そう。美帆たちに不安な感情を抱かせてはならない。そして、雫はさらに気づく。一心の隣に立っている見覚えのある男性を。
そしたら、急に目元から一筋の涙が流れる。
「え?え!雫、本当に大丈夫?」
みんなが不安な気持ちになるのを避けなくちゃいけないのに、無意識に思ってしまう。家族のことを。
■英樹視点
201号室の扉を開けた先に寝転ぶ一人の少女に見覚えがあると感じた。そして、ある結論に達する。
なるほど、彼女は我らがアルマダ国の研究...
超能力研究の実験体か。まさか、こんなところに潜んでいたとは...そしてだから、殿下美帆の暗殺任務が難航するわけか。後で、報告しなくては...
病室の外にチラッと赤い影を見たような...
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