14話 怒涛の文化祭 〜一心視点〜
時間は遡り、1日前の夜。
どこかに通信機をかける一心。
「こちら、BLACKだ。英樹さん」
「ん?なんだ、急に?」
「今日、ターゲットの元に暗殺の予告が来た」
「暗殺の予告って...それ、暗殺と言えるのかよ」
「いや、周りの者たちも一切気づいてない様子だ。何せ、モールス信号だったから。」
「そうか...で、何の用だ?」
「いや、えっと...」
「なんだ?はっきり言ってくれないか、わからないじゃないか。何か困ったことがあるなら、すぐにお助けアイテムを送るが?」
「それで解決するなら、欲しい。」
「いや、だからはっきり言え!そんなやつに育てた覚えはないぞ!」
「...俺、何か変なんだ」
「あ?」
「ターゲットが狙われた時、俺は変な気持ちになった。何か助けたいような、守りたいような...」
「(まずい、あの気持ちを知ってしまったら、BLACKは暗殺業を下りてしまう!一体どうしたもんか...)っで、それが何だ?」
「え?」
「それで、狼狽えるお前じゃないだろ?ターゲットが狙われてるなら、それは機運じゃねえか?そこで、漁夫の利を使っても良し、逆に助けて信頼を得るのも良し、お前なりに考えることができるのではないか?そうやって、今まで任務を成し遂げてきたのじゃないか!」
「.......そうだな。ありがとう、英樹さん!何とかやってみる。」
そして、一心は通信機を切った。一心は何か決心したような表情を見せる。一方、英樹は顔をしかめてしまう。
「これで、二択のうち、どれを選ぶのか...その選択次第では、俺が今からお前のとこへ行くぞ、一心。」
■文化祭当日
一心には思い当たりがあった。あんなモールス信号で予告するような奴はこの世にたった1人しかいないと。
黄昏の烏、
奴は、一心が小さい頃から、目の敵にしてたアルマダ国の殺し屋だ。いわば、幼馴染である。
如何せん真面目すぎるから、殺し屋ランクが上がらないのだと、何度も忠告をしようにも一切自分の考えを変えない。殺しの依頼を完璧にこなすよりも、キレイにターゲットを死なせてやろうという意思を奴から、感じていた。
そのため、奴は武器を毒ガスとかそういった化学兵器を好む。皮膚が溶けない程度の有毒な、特別製だ。
だから、その日、最も風が止まなくなるであろう時に現れるはず。たとえ校内であったとしても、一心が学校の監視カメラをフル起動かつハッキングしているのは、わかっているはず。
だから、決行は、夕方の屋上。
しかも、今日は夕方に風が吹かなくなる予想だ。奴はなぜか夕方で殺したがる。理由は聞いてないが。
そして、来たる時。
監視カメラに1人で走るあの超能力野郎がいた。一心はすぐに美帆の方へ注意を向けた。ちょうど監視カメラ(BLACKが入学の際に設置した監視カメラ)に映っている。周りに人は少々、なるほど...
全員グルか。
一心は気づいた。周りの人間が何やら、ちっちゃいスプレー缶を持ってるのに。
催眠ガスを放っている。しかし、確実に美帆は吸っているはず。なのに、効き目がない。一心は疑問に思ったが、少し考えてある仮説を思いついた。
その仮説に従って、一心は美帆の方へ駆け向う。
そして、あの超能力野郎が戻ってきたとき、奴は少し足元がふらついている。
そして、美帆の方へ向けるナイフを持った男。一心は素早く動き、その男を回し蹴りした。と、同時に雫は倒れた。
「え?一心くん?」
何が起きたのか、よくわかってないご令嬢。しかし、そんな呑気なことを考えている隙はない。周りの人間共が一斉にこちらを向き、ナイフを刺そうとしてきたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます