5話 恋のライバルの登場、いやそうではない

 青い空、そしてその中を優雅に動く白い雲。

 今日はいい天気だなぁ...


 俺の名前は、島崎はる。今は失恋の兆しがふと感じたため、現実逃避中である。昨日、転校生が来た。そのことから、俺はこの状況に陥っている。俺の頭の中では、俺の好きな人がその転校生をどこか懐かしそうに見ていた。そして、その後その転校生と一緒に、『久しぶりに会ったね。ねえ、一緒にカフェにでも行かない?』と言って、そのままカフェに行ったに違いない。(違います)


 俺にとって、雫は小学生以来、ずっと一途に好きだったのに。まさか、俺の知らない好きな相手がいたなんて、しかもそいつが転校生という。


 これは運命の再会から始まるラブコメじゃねえか!!


 しかし、それでも諦めない。たとえ負けモブだったとしても、俺はあの高嶺の花を勝ち取ってみせる。あんなラブコメ主人公にな!


 というわけで、俺はぼんやりと今日の天気のことを考えながら、あの転校生を追っている。というのも、昨日は日課のストーキングの一環で、奴の自宅を突き止めた。郊外のオンボロアパートに住んでるらしい。よっし、俺の方が一枚上手。俺の家は一軒家だから、家庭の経済力は勝利。


 だが、奴を追っていても、なぜかだんだん学校から離れていっているように思えてきた。そして、ふと昼でも暗がりの雑木林の中に入ったところで、彼は俺に拳銃を突きつけてきた。


「お前は一体どこの刺客だ?」

「し...刺客?」


 俺には、何もわからなかったが、ふとある考えになった。


「なるほど、君は中二病だったんだね。だから、雫と仲良くなったんだ〜!」


 俺はわかっている。彼が銃大好きで、よくスネークごっこをしてしまう中二病。だから、こんな暗がりの林に連れてきたのだと。さらに、雫も何かよくわからないが、たまに変なポーズをする時がある。つまり、2人は中二病で、謎のシンパシーを感じたわけだ。


「ちゅ、中二病?」

「そうだろ?だから、ここに連れてきた。そして、雫と仲良くなっているのは、その謎のシンパシーのおかげだ。これぞ、天才島崎春の名推理だ!!」


 いえ、すべて間違っています。


「あ、お前は後ろの...」

「そうだ、俺は後ろの島崎春だ!大丈夫、君たちの秘密は絶対にバレないようにするから。万が一俺がバレるようなことをしたら、即撃っちゃっていいぞ〜!俺は中二病を保護するのだから。」

「撃っちゃっていいのか?」

「ああ、もちろん...」


 一心は初め彼を怪しがったが、すぐに安全とわかった。何か、勘違いしているようだが、まあ彼が俺の正体をばらした暁には弾丸の雨を降らそうと人知れず決心した。そんなことを何も知らないで、2人はただの友達となっていた。


 ■一方その頃


 雫は、隣の2人がまだ学校に着いてないことを疑問に思い、町中の心の声を聞きまわった。その時に、少々舌を上の方へ出さなければいけないのだが、まあ一応何か仕組んでるのでないかと気になり、発動してみた。


「バカとあいつが友達になった...」


 少しめんどくさいことになったと思った雫、それもそのはず、隣の春は小学生の時から、好きだったけど、超能力の心を読む能力で、彼の心情がわかったしまい、なんだがとてもツンデレになってしまいそうなのだ。


「春...ばっかじゃないの...」


 授業中のため、静かに言う雫であった。


 ●本日の勝者:一心と春

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