2話 任務は緊張するもの
転校初日、一心は担任教師の言うことに従い、まさかの殿下美帆の隣の座席を手に入れることができた。まあ少し前に学校のデータをいじくって、席替え(陰謀)をしたのだがな。それでもしかし、なぜかあの少女はターゲットの後ろの席を陣取っている。なかなか殺しがしにくい。でも、それを乗り越えてこそ最強の殺し屋、BLACKである。ここで諦めるわけにいかない。
「よろしく!」
その一言と一緒に手を差し伸べた。そして、なんの考えもなさそうにターゲットと接触。そこで一心は『ああ毒薬塗っとけばよかった』と少し後悔する。まあそこで殺したとして、後ろの人がじっとガン見しているが。
「こちらこそ、よろしくね〜」
一心の席は後ろから二番目かつ窓から二番目である。一心は後ろの席の奴に少し話しかける演技をしながら、ちらっと隣を見てみたが、じっとガン見をし続けていた。
「もう〜雫、そんな目をして〜転校生くんに迷惑でしょ!」
「え、あ...ごめん、美帆。」
なるほど彼女は雫と言うんだな。殺しにおいて、大事なのは”情報”である。そのために、まずターゲットもしくはその友達の情報を会得するのみである。これで任務を遂行できると心の中で悪い笑いが生じている。
一方、彼女の心の中では...
『美帆のことを殺そうとする殺し屋まがいめ!絶対にうちらの情報は渡さんし、絶対に美帆を守るんだから!だって、美帆は大事な大事な親友だもの!』
■
転校初日の授業をただ淡々と進み、ついに昼休み。彼女らは必ず4時間目の授業終わりに少し離れたトイレへ向かい、お手洗いをするのはわかっている。だから、彼女らが呑気揚々とお手洗いしにいっている最中に、一心は彼女らの弁当に毒薬を忍ばせる算段としている。
さて、4時間目最後のチャイムが鳴り出す。これが戦いの合図。案の定、彼女らはトイレの方へ向かった。俺はすぐに動く。もちろん目に見えない速さで。ただ気づかれずに。しかし、一心は予想だにしなかった。ターゲットの弁当には何重もの鍵がかかってるし、友達の弁当にはとある紙切れが挟まっていた。
『弁当に毒薬を入れたら、滅す!!』
一心はただ呆然と同じ速さで、自席に座る。今まで殺し屋として生きていた中で、最も恐ろしい文言のように一心はただ感じた。
●本日の勝敗:雫の勝利。
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