出会い、そして想う

1話 この出会いが間違っていたのか

 とある国より少し離れた、緑豊かな町。

 その中の子供たちがよく肝試しかで行くこととなっているお屋敷があった。そこでは、夜な夜な銃の弾の音が、カラン...コロン...と聞こえるらしい。そして、あるときはボロボロの服で、またあるときは血まみれで、そこの建物に入っていく人がいるらしい。


 それが本作の主人公、伝説の殺し屋として子どもの頃から忌み嫌われてきた通称BLACKである。又の名を烏丸一心という。しかし一心と呼ぶ者を世界でたった一人のみ、彼の名を漆山英毅ヒデキである。彼は一心を子どもの頃からサポートをしてきて、伝説の殺し屋として育て上げてきた張本人である。昔は殺し屋として活躍の陽を浴びてきたが、今は一心の依頼中継人である。


「一心、依頼だ。」

「...依頼ですか」


 一心はいつも通り、英毅から依頼書をもらう。しかしいつもと違うのは、ちっちゃな紙に黒いペンでこう書かれているだけ。

『日本の大財閥、その御令嬢を殺せ!』

 一心は字は読めるが、それがを持っているのか、わからない。つまり彼は殺し以外の知識を持ち合わせていない。


「誰を殺せばいいのだ?」

「日本の大財閥、殿下財閥。その御令嬢、殿下美帆を殺せ!っとのことだ。」

「でんか...みほ...」


 一心はその名前を頭に刷り込ませて、殺しの依頼に出かける。どこか懐かしさを感じて。


「一心、気をつけろ!彼女は今まで何人の殺し屋を送ったが、なぜか誰も帰ってこない。まして彼女も平気で生きている。だから、死ぬなよ!」

「...俺は死なねぇ、依頼は必ず遂行する」


 そう決心して、彼はその屋敷を出た。


「...死ぬなよ...」


 ■


 そして一心はとある国から飛行機に乗り、日本にやってきた。彼はすぐに彼女の場所を予測した。おそらく彼女は臨海公園にいるはず。彼は慣れないスナイパーライフルを持ち、臨界公園が見える廃ビルの最上階の窓から狙う。


 そして、案の定彼女が来た。周りには友達が一人だけ、SPはいないようだ。一心は楽な仕事だと思い、任務を遂行する。風向き良好、彼女があの噴水の前に立つタイミングで撃つ。


 彼女がポイントにたどり着くまで、3秒。そこから、彼はコンマ単位で時間が進む。そして、たどり着くほんの0.002秒で発射!


 弾丸は徐々にスピードを上げていき、彼女の頭にぶつかるスレスレの時、なぜか弾丸が急に右方向に曲がり、そのまま噴水にポチョーン。


 たとえ慣れていなくとも外れるわけがないと思い、もう一発撃ったら、今度はぶつかる一歩手前でカーンっと弾き飛んだ。一心はなにがなんだがわからなくなってきた。そして、ふと彼女の方を見つめるとその友達と目が合い、急に心の中に声が現れた。


『また殺し?絶対に美帆は守るから!』


 一心は悟った。彼女が死なないのは、彼女自身でもない。彼女の組織でもない。あの超能力少女だと!!


 そして、一心は決心した。必ずあの超能力少女を殺し、依頼を遂行する、と。


 ■


 その日から数週間後、ターゲットの登校する学校へ転入することとなった。(もちろん裏口入学で)そして、学校の記録改ざんを施し、彼女と同じクラスにした。これなら、いつでも殺しに行けると思いつつ、担任の先生に連れられ、教室のドアを開ける。


「はじめまして烏丸一心です!これからもよろしくお願いします」


 意外と演技力は高い一心であった。しかし、心の中では...


『後ろの金髪の少女がターゲットだな...それにその前がおそらくこの前、一緒にいた友達なはず...でも、何かめっちゃ睨んでないか?この演技力には自信があったのだが』


 もちろん、その子には一心の思惑なんて丸見え。


『また、あの殺し屋来やがった...今度こそ、美帆を守る!そして、あいつの人生終わらしてやる!』


 ここから、最強の殺し屋VS超能力少女による戦いが始まる!!

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