第47話 夏、プール、水着!
夏休みも終盤に差し掛かったある日、それは山形からのストメが始まりだった。
「酢の物うまっ」
「ホント、海って美味しそうに食べてくれるよね」
「ん? 美味しいものを美味しく食べてるだけだけど」
「ふふっ、嬉しいな」
ヴーヴー
ん? 誰だ? 美味しい昼食中に……あっ、山形か。なになに?
【おっす! 元気してるか? 突然なんだが、俺達夏休みなのに夏休みらしいことしてないだろ! 俺はそんなの嫌なんだ! というわけで、今週の日曜日に皆でプール行かないか? 返事至急よろっ!】
あぁ、そういえば山形達と夏休み入ってから遊んでないなぁ。お互い部活で頭いっぱいってこともあったけどね。確かに思い起こせば……バスケしかやってない! 外に出たのだって、めぶり祭りしか思い当たらねぇ! そうだ山形、それだ山形! 夏と言ったらプールなんだよ!
ヴーヴー
ん?
【追伸 間野さん、水森さん参加! 谷地、白波参加! 多田さん、宮原さん返事待ち】
おっ、続々と参加決定か。ん? 返事待ちってことは湯花にもストメ来てるはず?
「なぁ、湯花。山形からストメ来てないか?」
「ストメ? あっ、携帯部室に忘れて来ちゃった」
「マジか。今山形からストメ来てな、今週の日曜プール行かないかって。間野さんと水森さんは来るらしい」
「プール? もしかして黒前市民プールかな。結構おっきいんだよね?」
「石白とは大分違うよな。んで? 湯花もどうだ」
「海は行くの?」
「まぁ夏休みにプール行かないのももったいない気がしてさ。行こうかなって」
「確かにねぇ、夏にプール入らないなんてもったいないっ!」
「だろ? 皆も来るみたいだし、湯花来たらもっと楽しくなると思って」
「えっ、もぅ……じゃあ一緒に行こう?」
「決まりだな。じゃあ山形にストメ送っとくよ」
よいしょっと、これで良いかな?
「あっ、皆来るんだったら間野ちゃん達と話して、お弁当とか作って行こうかな?」
「へぇ! 男性陣喜ぶ……」
……ちょっと待った。皆がお弁当作ってくれるのは嬉しいけど、それって湯花の料理を奴らが食べるってことか……なんか嫌だな。
「その辺は適当に買おうぜ。せっかくのお楽しみに女の子達だけ手間取らせちゃ本末転倒だろ?」
「そう? じゃあ思いっ切り楽しんじゃおうかな」
「だな?」
――――――――――――
そんなわけで、やってきた黒前市民プール。
「あっちぃー!」
「結構暑いなぁ」
「確かに……でももう少しの辛抱。もうすぐ来るはずさぁ」
「そうそう、俺達のヴィーナス達が来るわけだ!」
白波、例えがなんか気持ち悪いんだけど?
「お待たせー」
水森さんの声が聞こえたと同時に、一斉に振り返る野郎ども。
ったく、そんなにがっつくと嫌われ……はっ!
嫌われるぞーなんてキザったらしく思っていたものの、その先に現れた水着姿の4人の姿を目の当たりにした瞬間、それはどこかへ吹き飛んでしまった。
「「「うおぉぉ」」」
さすがに3人のような声は我慢したけど、そう言いたい気持ちは激しく良くわかる。
うお! マジか? 水森さん、その身長に見合ったモデル体型でスタイル良過ぎ。しかも青のビッ、ビキニというものなのか?
しかもお隣の多田さんは黒? こちらも負けず劣らずのスタイルで、いつものマネージャーやってる姿とは全然違う。
そして間野さん、ピンクのフリルはヤバいでしょ? しかもや想像通りデカい……かなりデカい。日南姉妹には及ばすとも破壊力は抜群だ。
そんでもって、問題は湯花。黄色の水着で、ビキニだけど下半身の部分にフリルが付いててスカートみたいだ。
……いや、ウエスト細くないか。しかも意外と胸大きいぞ。
待て待て、この中じゃ間野さんの次に大きくね? だからあんな想像以上の谷間が……おかしい。部活とかでTシャツ姿はずっと見てるけどあそこまで主張していなかったはずだ。
いや、まぁいい、そんなことよりハッキリしたことがある。めちゃくちゃ可愛い。身長は小さいにしても出るところが出て、シュッとしたくびれ。マジか? 湯花お前、めちゃくちゃエ……
「よっ、よーし! じゃあ行こうぜ間野さん」
「えっ? うっ、うん!」
「ささっ、水森さんも」
「ん? はいはいー」
「なるほどねぇ、仕方ない。行くよ白波」
「えっ?」
「えっ? じゃないわよ。大体なんなのそのお腹、ちょっと出てるじゃん。幸い流れるプールもあることだし良い機会じゃない」
「ひっ、ひぃぃ」
ははっ、皆思い思いに行っちゃったなぁ。
「ねぇ、海?」
「ん?」
っと、ヤバいな……近くで見ると、その隠された体型に磨きがかかってる。目が谷間に……
「どうかな? みんなで買いに行ったんだけど……」
みんなで……この日に合わせて4人で水着選びに行ったのか。その光景を見てみたかった気がするのはなぜだろう。
「似合ってる……かな?」
そう言いながら、照れるような表情を浮かべる湯花。そんなの悩む必要すらないくらいに、答えは決まっていた。
「うん。めちゃくちゃ似合ってるよ」
「本当!? 嬉しい!」
本心だし、俺も湯花の隠れた魅力が発見できて嬉しいよ。それに、
「じゃあ湯花、一緒にウォータースライダーでも行くか」
「うん! 行くっ」
今日の目的はこれからだろ。
それから俺達は、夏の思い出をこれでもかと作り上げるかのように、夏の市民プールではしゃぎにはしゃぎまくった。
ウォータースライダーには何回乗ったのかわからない。流れるプールを逆走して白波の特訓に付き合わされたりもした。お昼に皆で食べた焼きそば、フライドポテトにラーメンは美味しくって、楽しくって……皆が常に笑っていた。
それに特訓中に、流れて来た湯花の胸が顔面にヒットしたのは最高だったな。あの柔らかい感触は忘れられな……
「海? なんかイヤラしいこと考えてない?」
「えっ! そんなことないぞ?」
ガタン、ガタン
―――次は下尾~下尾駅です―――
あぶねっ! ついさっき起こったサービスタイムのこと思い出してたのバレるところだったわ。俺顔に出てたのか? 気を付けなければ……
「本当かなぁ?」
「ほっ、本当だって」
「まぁ、みんなスタイル良いし、いつもと違う姿だと、おっ! ってなるもん」
みっ、見抜かれてる? 俺どころか野郎共皆の気持ちが見抜かれているのか? さすがはポイントガード。けど、
「確かに、皆スタイル良かったなぁ」
「あっ、やっぱりそういうとこに目いっちゃう? ふふっ、海も立派な男の子なんだもんね」
まぁ、けど俺に関しては少し違うけど。
「俺が見てたのは……1人だけだったけどね」
「えっ……? それって……」
最初は皆の姿にびっくりしたけどさ、そのあとはずっと……湯花の水着姿にしか目がいかなかったよ。
そんなの当たり前じゃん。
「湯花の水着姿……」
誰だってずっと見ていたいに決まってるよ、
「めちゃくちゃ可愛かった」
自分の好きな子の水着姿をね。
「かっ、海……」
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