第17話 親愛なるものへ-17
いつものようにマンションのゴミ捨て場を物色した後、美生は表通りに回り銀行に向かった。まさかとは思っていたが、もしかしたらという気持ちが、宝くじの番号を確認させに向けたのだった。
女性で賑わう真昼の銀行に入ってきょろきょろしていると、一人の女性行員が近づいてきた。
「何か御用ですか?」
「あ、あの、これ当たってるかどうか確かめに来たんですけど」
「お嬢ちゃん、おひとり?」
「あ、お遣いで。確認だけ頼まれたんです」
「あぁ、そう。じゃあ、お預かりします」
行員は近くの窓口に案内して、カウンター内の行員に頼んだ。行員はめんどくさそうな雰囲気を出しながら、しばらくしてから名前を呼ばれた。その時に当選表を渡された。美生は、自分で確認しようとすると、行員から当選していると伝えられた。驚いて行員の顔を見ると、ほらここと言いながら、番号を指し示してくれた。はっと目を見開いた。一等当選?前後賞合わせて、壱千万円?美生はそのまま立ち尽くしてしまった。
「どうしたの?」
「こ、これ」
行員はニコニコ微笑みながら、
「おめでとうございます」と言った。
「そ、そんな。これ、本当にもらえるんですか?」
「ええ、でもお嬢ちゃんだとだめだから、今度お父さんかお母さんと一緒にいらっしゃい」
「はい」
美生は夢見心地で銀行を後にした。そして、喜びが沸き上がってきて、急に駆け出し、和枝の喜ぶ顔を目指した。
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