第14話 親愛なるものへ-14
「そうだ、もし要らないものあったらちょうだい。玩具でいいから。またガキんちょに売りにいくから」
「でも、なにも子供に売りつけなくても」
「案外、金持ちよあの子ら。それに大人はダメよ。こっちがガキだと思ったら、すぐにつけ込んでくるんだ、大人のくせに」
「そうだよな、先公なんて完全にそうだもんね」
「子供は無邪気だしね、こっちも良心的に相手してやると、ちゃんと素直に応えてくれるんだ」
「ん、わかった。協力するよ。家にある要らないもの持ってきてあげる。玩具とかゲームがいいんだろ」
「助かります」
「みんなにも訊いてみようか」
「そうよ、真理さんが声掛けたら、みんな協力してくれるよ」
「じゃあさ、いっそのこと、フリーマーケットしようか。参加費取って、みんなで集まって」
「それも面白いね」
「真理さん、そういうのも、面白いんじゃないの。あたしたちのグループって、強面みたいに思われてるじゃない。そうじゃなくて、交流を大事にして、仲間の結束だけじゃなくて、学年や学校全体のつながりを作るのも面白いよ」
「グリーンスクールみたいに」
「グリーンスクール?」
「ミキちゃん知らない?ほら、あそこの緑ヶ丘学園。私学だけど、学校全体のまとまりがあるっていう噂」
「規模が小さいからだっていう話もあるんだけどね」
「へぇ、お利口さん学校だと思ってた」
「結構、デタラメらしいよ。無茶苦茶やってる連中もいる、って」
「無茶苦茶?」
「あ、無茶苦茶って不良とか非行じゃなくて、学校で金儲けしてる奴もいるんだって。新聞部だっていうことだけど」
「だけど、上岡でそれはできないでしょ」
「まぁね」
「じゃあ、フリーマーケットをどうやってやるか、っていうと、学校じゃ無理よね」
「あの…ここでやればいいんじゃないですか」
「ちょっと、狭いね」
「店の前にシート広げて、そこにも陳列すれば、なんとかなるんじゃないですか」
「まぁ、場所はもうちょっと考えよう。とりあえず、フリーマーケットやろう」
「賛成!」
「手伝わせてもらうよ、あたしたちも」
「いえいえ、こっちこそ助かります」と言った後、時計を見て「じゃあ、あたし行かないと」と告げた。
三人が出て行って、美生は片づけをしてから急いで出掛けた。いつものグラウンドに向かって早足で歩きながら考えた、フリーマーケットができる方法を。
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