第4話
機先を制されて、その先に待っていたのは白いブラウスの生地の感触と、その下にある下着と……柔らかい。
姉とはまた違った弾力のあるものが待っていた。
「もっといいことありますよ?」
そして、がぶっと耳たぶをかじられた。
軽く……。
「うへっ」
と間抜けな声が出た。
牧那はそれをはむはむと味わってから手の力を抜いて、抱介を解放した。
痴女だ……姉に負けず劣らずの痴女がいる。
「ふうん。あんまり美味しくないですね。七十点」
と、良いのか悪いのか。
そんな評点を下された。
まだ十六歳の抱介にはそれ以上、顔を赤らめて何もすることができなかった。
一年前、さっき見せつけられた画像のようなことまで、こいつの姉とやってきたのに。
人間、驚いたら何も身動きできなくなる。
それは本当だったんだ、と抱介は身じろぎ一つできないままに考えていた。
「カンタン、ですよ。先輩。季美を今の彼氏から抱介がNTRし返す。季美の今の彼氏を……妹がNTRする。簡単でしょ?」
そんな提案だった。
姉を季美と呼び捨てにするその言い方には、尊敬とか敬意とか、姉妹肉親に対する愛情とか。
そういうものが、どこかすっぽりと抜け落ちているような感じもしてならない。
「……お前のメリットは? そういうこと提案するなら、季美が……心配なのか?」
「ううん、ぜんぜん。さっさと死ねばいいって思ってる。あんな男を見る目がないお姉ちゃん。大っ嫌いだから」
「……どういうことだ?」
「好きなんですよ、中古。誰かのお古を奪うの。でもわたしは新品ですけどね?」
「中古って。おいおい」
「それに大好きなんです、お姉ちゃんが笑っているのも。泣いているのも、あー違うな。うちがそうさせるのが好きなの。支配したい」
てっきり姉の彼氏が好きなのかと思ったら、そうじゃなかった。
牧那は重度のシスコンで、それに輪をかけて、中古品が大好きな少女だったのだ。
そして、牧那の姉、槍塚季美は昨年の夏に抱介のせいで……中古品へと型落ちしてしまっていた。
「ね、どうですか? 悪くないでしょう?」
「俺にメリットがねーよ……脅し方もあいつにそっくりだし」
「それならー」
と、姉を中古品と言いながら自分のモノにしたいと願う牧那は、まだ季美のことを忘れられない抱介を背徳の淵へと引きずり込んでいく。
「新品の妹も、欲しくないですか、セ・ン・パ・イ?」
勝利者には妹の愛も付いてくるよ、と牧那はそっとささやいた。
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