気紛れ執筆

@uu_1o4

副流煙と主流煙

秘密が入り交じる、混沌の路地裏。

室外機からは家庭の香りが漂うはずも無く、

穢れた空気を此方に吐き出している。

夜が染み込んで昼間とは違う、きっと地中奥底まで冷えているであろう黒々としたアスファルト。

自宅のリビングの如くそこいらの段差に腰掛ければ、不思議と居心地は悪くない。

今日はよても好い日だった。

ふと、煙草を差し出される。

少し躊躇した後に、受け取る。

人吸いすれば、淹れたての珈琲のフィルターに残る豆の欠片を口いっぱいに頬張ったようなほろ苦さと温かみが蔓延する。

今迄に経験したことの無いそれだったが、存外対したことは無く寧ろ愉悦さえ感じた。

主流煙を受け容れてしまえば、副流煙が不味く感じる。薄い。と。

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気紛れ執筆 @uu_1o4

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