木がふんだんに使われた校舎。

 年季の入った濃い茶色が学校の歴史を表す。


 生徒達は変わらず廊下を颯爽と歩いてる。

 廊下の壁には走らないよう注意書きが貼られている。


 教室の黒板側には日直の名前二人が書かれていた。

 閉じている教室の扉をシャーッと開ける。

 担任が教室に入って来た。

「はーい、みなさん席についてねー。えーっと、今日の日直は、っと……。」

 生徒達は席に着いた。朝の会が始まった。淡々と素進んでいった。

 そして、今日は新・進級生恒例の進級お祝いテスト。

 玉穂達のクラスと半分が近くの稲荷餅いなりもち中学校に進学する。もう一方は別の中高一貫校に進学を目指す者といくつかの選択肢がある。このテストが単に五年生の復習テストという意味だけでなく、五年間に復習である。

 そのため、あまり嫌がる生徒はいない。玉穂はそのように感じた。

 テストが終わる。午後には新年度に使う教科書や付属の学習教材の整理をした。

「あー。終わったー。じゃぁ、私たちは仕事だね」

「そうだね。今日は平日だし私も伊久いくちゃんもだし。たまちゃんはそんなでもない?」

「少しお客さんが来るくらいだから。なかなか、夜に甘味処かんみどころで甘いものを食べる人っていないし」

「いいな~。ねぇ、いつか玉ちゃんと伊久ちゃんのお店を交代してみない?冗談だけど」

「二人ともご飯メインのお店だから大変そうだなと思ったから、変わってあげたいとは思ったけど、本気でするには難しいよ。やっぱり二人は凄いよ」

「それじゃあ、今日は仕事前に玉の甘味処であんみつを食べてから働こうかな」

「いいよ。私が特製のあんみつを作ってあげる」

「わーい!玉ちゃんのあんみつ!」

 伊久実とこむぎは仕事場へ行く前に玉穂の甘味処へ行くことになった。

 伊久実の食堂は裏隣り。こむぎのお店は甘味処の左隣の隣のお店だ。しかし、仕事までの時間までにはあまりない。いつもどこかへ寄り道をして職場へ向かっている。


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