玉穂と従業員数人で営業している。まだ小学六年生。海外へ行っている店長の父に代わり、店長(仮)てんちょうとして、お茶やあんみつなど商品を提供している。

 とある週末の一日。いつもは週末関係なく営業している甘味処・玉月は一年に数回しかない定休日。

 和室のリビング。低い机には学校からの宿題を広げている。鉛筆を持ったり、消しゴムを持ったりと。紙の一部を黒くして苦労している。「ふぅ〜」玉穂は畳の上で横になる。

「あー。勉強もある程度終わったけど何しようかな」

 縁側へ顔を出し、空を見上げる形で仰向けになった。

 足元にも授業ノート、教科書が散らばっている。国語・社会・英語は得意。だが算数・理科が苦手なために重点的に勉強をしていた。数字や記号を見るだけで私はめまいがしてしまいそうになる。苦手教科は友達や先生たちに教えてもらうのが恒例。苦手教科の定期テストは毎回、平均点ほどの得点は取ることできている。

「ポロリンッ!」座布団の右側おいてあったスマートフォンの通知音が鳴った。私は起きる。スマホを手に取り画面を見る。メッセージの送り主は父だ。

『新作スイーツ たま見てくれ!!』

「また、お父さん変なもの作ったんじゃないよね……」

 父は海外で新しいものを見てはこうしてメッセージを通して、私や家族に新作の提案やただ伝えたいという目的で送ってくる。正直、海外まで行って新しい案を出すことは悪くはない。本当は父の店である甘味処を切り盛りしている玉穂にとって、父の送ってくるものは参考になるとは思えない。特に和菓子や和風が主に取り扱っている店においては。

 しかし、父は新しい玉月。他にない甘味処を目指すものたちはお店を飛び出して、異世界のものを見に行くのだろう。

「ふぅん?タッ、ピー、オ・カーミルクティー?」テレビに触発されてたまたま友人達と街へ行った際に口にしたことがある。

『お父さんそれ、もう日本で流行ってるよ。でも、美味しかったな』

 玉穂は露天風呂に流れる新鮮な温泉のような感じで新作商品の案が湧き上がる。階段を降りる。

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