第8話

「えーそれでじゃ、圭太さんと離婚したんだ!?」

「うん、圭太は料理も上手でね、帰ると美味しいもの作って待っててくれて、とてもいい旦那さんでね。幸せだったんだけどね」

「じゃあ、どうして!」

「父が亡くなって私が会社を継ぐことになって・・・やっぱり亀田姓は都合悪くなって、またおんなじ手続きして苦労して元の姓に戻したの。あちらのご両親はどうしても女性の姓にすることに抵抗があって。」

「じゃあ、同棲って形にすればよかったんじゃない?」

「圭太はまだ若いからね、私に縛り付けておくのは可哀そうだと思ったのよ」

「それって・・あまりに辛い話だね」

「考えて、考えての挙句の結論だから。もう何も聞かないでね。」

「わかった。今日は飲も!」

「そうだね、飲もう、飲もう!」


「カンパーイ!」

「カンパーイ!!」

激しくぶつけたグラスが割れてあたりに飛び散った。

「マジ!?」

「また?」

二人の服はびしょ濡れだ。


「大丈夫ですか」

声に振り向くと、微笑む圭太が立っていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夫婦別姓 amalfi @amalfi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る