第5話

「圭太、私は親の会社を継がなくちゃならないので白拍子の名前が無くなると困るの。白拍子商事って言うんだから。白拍子商事の社長が亀田って変でしょう?」

圭太はびっくりして言葉が無くなった。


「それは、僕に白拍子になれって意味ですか」

「圭太にはお兄さんがいらっしゃるから、その方に亀田を継いでもらったら」

「・・・亀田先生の息子の圭太くん、亀田先生の弟の圭太くんだったのが白拍子圭太君になるの?」

「戸籍だけだから、良いんじゃない?」

「戸籍だけなら、かおりちゃんが変えるのはだめなの?

「・・・」

いつも笑顔の圭太から笑顔が消えた。


花嫁姿が見たいと言う両家の希望でとりあえずは結婚式だけは上げたが、戸籍の問題が解決できず、入籍せずに半年がたった。

かおりの両親からも圭太の両親からもさんざん言われたが、土俵際で持ちこたえていた。


圭太の実家に遊びに行った時のことだった。

いつもは優しい姑が

「前は良く帰って来てくれたのに結婚してからは帰ってこなくなって、いつまでも籍にも入ってくれなくて、圭太のことを好きじゃないのか」

話しているのをかおりは聞いてしまった。


これで終わりかな・・

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