第3話

「かおりちゃん、今日は聞いて欲しいことがあります」

付き合いだして半年ほどたったころ、圭太が真顔で切り出した。

かおりは思わず圭太の顔を見た。嫌な予感がよぎった。

「初めからちゃんと言わなくちゃいけないことだったんだけど、今まで言えなくて」

伏せていた目を、思いつめたように上げて圭太は言った。


「僕はかおりちゃんのご両親に会ったこともありませんのでどう思うか分かりませんが、はっきりさせておかないといけないとだと思います。

結婚を前提にお付いしてください。」

かおりは目を丸くした。


(これってもしかしてプロポーズ?こんなにもくそ真面目な?)

今までしてきた恋愛ってなんだったんだろう。あんなに悩んだのはなんだったんだろう。こんなにも普通にこんなにも自然に結婚の話が出るなんて。

かおりの目から止めどなく涙が溢れ出た。


「かおりちゃんゴメン、困らせちゃった?」

かおりは

「違うよ、圭太。ありがとう!ありがとう!」

圭太の胸に飛び込んだ。

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