少し嫌な相手

河合さんがパパ活...

信じたくないが画像や金だけ取られて逃げられた人の証言もある。

「誠也、何もされてない?」

「あぁ、財布はリュックに...」

一応財布の中身を確認した。

「...2万無くなってる。」

元々5万入れていた。

修理費に2万、カフェに1000円。

2万足りない。

「...河合さん、なにか事情があるのかも。」

「事情があってもやってるのは詐欺にスリ、犯罪なんだよ?」

そうだ...どんな事情があっても詐欺は詐欺。

「...明日、河合さんと会ってみる。」

「うん、警察も呼んでおこうよ。」

俺は放課後に河合さんと会う約束をした。


次の日、教室に入ると康介と伊織が来た。

「誠也、今日会うんだって?」

「あぁ、本当に河合さんか聞くために。」

「犯罪者は自分の罪を認めないものだよ。」

伊織の言う通り、犯罪者は認めない。

「認めないなら犯行現場で捕まえるしかない。」

「犯行現場を?」

作戦は簡単、俺がただ財布を置いてその場を離れればだけ。

それで金を取ったらOUT、現行犯逮捕だ。


放課後、俺は試合前の練習を休み、待ち合わせ場所に向かった。

「お待たせ〜」

河合さんは何故か制服で公園に来た。

「なんで制服?」

「誠也君に見せたくて。」

河合さんが笑顔で言った。

こんな人が詐欺か...

どんな気持ちで話したら良いか分からず、少し無言になった。

「誠也君、今日呼んだのって?」

「昨日さ、河合さんを送った後、財布を確認したら少し無くなってた。」

「えぇ、最悪だね、でも2万なら誠也君すぐ稼げるでしょ。」

あぁ、河合さんが犯人だ。

「2万、なんで分かった?」

「だって、私だもん、抜いたの。」

なんだ、簡単に認めた。

「...なんで抜いた?」

「だって、お金あるでしょ?」

金があるからって金を取るのは違う。

「返す気は?」

「ないよ、なんで返さないといけないの?」

俺はこんな人を好きになっていたのか...

もう話したくない、顔を見たくない。

「もういいや、警察を呼んであるんだ。」

康介と警察が河合さんを囲んだ。

「ねぇ誠也君、なにこれ。」

「君が河合香菜だね、刑法246条、詐欺罪と刑法235条、窃盗罪で逮捕する。」

河合さんは手錠をかけられ警察に連れて行かれた。

パトカーに乗るまでに「お金あるんだし良いじゃん、それに私のこと好きでしょ?少し位大目に見てよ。」と叫んでいた。

「少し仲良くしただけで告白したり、ジェットコースターもまともに乗れない人とは付き合いたくない、そう振った人の事いつまでも好きで居るわけ無いだろ。」

そう言うと河合さんは警察署に連れて行かれた。


初恋の人がまさかのエイリアンタイプだったとは...

忘れたかったのに、東条が悪い...

公園から家に向かっていると希空が駆け寄ってきた。

「誠也!あの人、捕まえれた?」

「あぁ、さっき連れて行かれた。」

希空は安心したような顔をした。

「誠也って今好きな人居る?」

唐突に何だ...

好きな人か...初恋が酷かったからな...

「居ない。」

そう言うと希空は少し喜んでいた。

「なんで?」

「気になって。」

希空は笑顔でスキップしながら帰った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る