嫌なクラスメイト

希空はお昼に戻ってきた。

足には包帯を巻いていたが普通に歩いていた。

「5時限目なんだっけ...」

「えっと、音楽だな。」

俺と康介、伊織はお昼を食べ音楽室に向かった。


伊織が音楽室にあるピアノを見た。

「そういや康介ピアノ弾けたよな。」

「少しな。」

康介がピアノの前に行きベートーヴェンの「運命」を弾いた。

途中まで弾くと先生と皆が教室の前で聞いている。

「...こんなもんでいいか?」

俺と皆は拍手した。

少しチャラい康介が弾けるのは意外だ...


暫く伊織がピアノ弾ける事が話題になった。

希空も茉陽、クラスメイト数人が康介の周りにいた。

俺と伊織は2人で居た。

「なんか、ムカつく。」

伊織がペン回しをしながら言った。

「なんで?」

「皆康介はチャラい奴だって決めつけてたくせに、ピアノが弾けるとかギャップで周りに来るって、俺は嫌だな。」

伊織はわざと大きな声で言った...?

「確かに、見た目で判断したのに何かあれば寄ってくる、確かに嫌だな。」

俺も大きな声で言うと希空が振り返った。

「2人はギャップがないから羨ましいんでしょ、うるさい。」

伊織と希空が睨み合っている。

あーあ、喧嘩が始まる...

「2人共、仲良くしろよな?」

康介が2人と肩を組んだ。

きっとクラスの中で1番怒らせては行けないのは康介だな...

今も少し怒ってるような...

皆も雰囲気が悪く感じたのか康介に笑いかけた。

康介も直ぐに笑顔になり伊織達も握手をした。


6時限目が終わり部活に向かった。

後ろでは希空と光司が笑顔で話していた。

ユニフォームに着替え準備運動で走り込みをした。

「誠也、一緒に走るぜ。」

着替えた光司が追いかけてきた。

「じゃあ勝負だ。」

俺と光司は最初から飛ばし光司は走り込み後、グラウンドに寝っ転がり、俺は飲み物を取りに行った。


給水スペースに俺の水筒が無い事に気付いた。

置いておいたはずなのに...

無いものは仕方ない、水道に行こうとした。

「あ!誠也!」

希空が水筒を持って走ってきた。

「何?」

「ごめん、誠也の水筒持ってて。」

希空は俺の水筒を渡してきた。

「そっか、良かった。」

水筒を飲むと希空が頬を赤らめていた。

「何?」

「その...ごめん、さっき喉乾いてその...水筒飲んじゃった...」

そんな事か...

「そうか、俺は別に間接キスとか気にしない派。」

俺は水筒を希空に渡し練習に入った。


練習後、顧問から次の試合のスタメン発表があった。

俺はFWになった。

そりゃあんな威力のあるシュート打てばFWになるか...

顧問から試合用のユニフォームを貰い下校した。


希空との帰り道は無言だった。

「ま、誠也...」

希空が小さい声で呼んだ。

「何?」

「その、音楽の後、ごめん!」

あぁ、うるさいとか羨ましいとか言った事か...

「別に気にしてない、謝るなら伊織な。」

希空は下げた頭を上げ笑顔になった。

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