嫌な授業
昨日、サッカー部に入部しスタメンになる話が出た。
朝に母と優さんに希空が笑顔で話していた。
「優さんの前で話しづらいんだけどね、健志さんもサッカー上手だったのよ。」
「あ〜健志さんは上手かったね〜」
優さんは父のことを知っているのか。
「パパ、知ってるんだ。」
「あぁ、高校の先輩でね。」
俺は朝食を食べ家を出た。
教室に入ると席替えが始まっていた。
俺の席を確認すると入口に近い列の一番後ろになった。
隣は希空、本当に運がなさすぎる。
友達と希空が話していた。
「誠也と隣とか最悪なんだけど。」
こっちのセリフだ。
いつもいつもいじめてくるクラスメイト、家では優しい家族。
裏表が激しすぎる。
「誠也、今度遊びいかね?」
伊織と康介が話しかけてきた。
「いつ?」
「えっと...」
伊織がスマホで確認している。
「再来週の祝日に数人で海とか行こうぜ。」
「海でバーベキューしようぜ!」
「分かった、再来週の祝日な。」
会話が終わると1時限目は体育。
近くの坂道とその先にある公園の周りを走ることになった。
皆準備を整え走り始めた。
男女混合で同じ場所を走ることになった。
俺はゆっくり走っていたので女子にも抜かされていきビリになった。
数十分かかり学校に戻ってきたが、希空がいない。
「先生、希空はどこに居るんですか?」
「ん?まだ帰ってないか?」
体力のある希空が俺より遅いなんて...道にでも迷っているのか...
「さっき希空足挫いてました。」
「え?」
希空は足を挫いたが皆を先に行かせ遅れないようにしたらしい。
少し迷ったが迎えに向かった。
道を戻ると希空はいなかった。
学校までは一本道。
すれ違いにはならない。
どこかに落ちたか...
探していると希空がベンチで足を冷やしているのを見た。
「希空。」
肩を叩き呼ぶと希空は驚いた。
「あ、誠也か、どうしたの?」
「どうしたって...こっちのセリフ。」
希空の足は赤くなっていた。
「歩けないのか?」
「そんなことないよ。」
希空はベンチから降り歩こうとした。
少しふらつきながら挫いた足を使わないように歩いていた。
希空の手を掴み止めた。
「背負うから、乗って。」
「大丈夫だって。」
大丈夫な人間は両足付いて歩くもんだ。
希空の前にしゃがんだ。
「大丈夫だって。」
「...」
黙っていると希空は乗った。
学校まで運んで保健室に連れて行った。
「早く治せよ。」
希空をベットに降ろし保健室を出ようとした。
「誠也!」
希空がベットから降りて駆け寄ってきた。
「運んでくれてありがとう。」
「...無理はするなよ。」
俺は保健室を出た。
希空はそのままお昼まで保健室で休んでいた。
置いていったことを謝ったり、皆希空を心配していた。
「誠也、意外と足速いんだな。」
「なんでだよ。」
「希空ちゃんが居たのって公園の奥の方だろ?よく直ぐ着いたよな。」
確かに希空の事を思うと何故か急いでいた。
「希空ちゃんの事好きなんじゃ...」
「それはない。」
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