嫌な恋バナ

2人は食事をした後帰った。

「ねぇ、誠也の初恋聞きたい。」

「なんで、聞いても面白くない。」

恋バナから逃げる俺を追いかけてきた。

「聞かせてよ。」

「...本当につまらないからな。」

俺は初恋について話し始めた。


中学2年生の時、初めてクラスメイトになった「河合香菜」と言う少女に惚れた。

香菜さんは学年テスト毎回1位。

スポーツテストも女子の中で1位。

才色兼備だ。

そして正義感が強い。

父親が亡くなって3年経ってもいじる奴は居る。

そして茉陽とも同じクラスではなかった。

そんな時は香菜さんが助けてくれた。

いつも笑顔で明るい彼女に惚れた。

俺と席が隣になるやつは挨拶なんてしなかった。

その時には「暗い奴」と皆から呼ばれていた。

でも彼女は違った。

「誠也君、おはよう。」

俺は挨拶された事に驚き開いた口が塞がらなかった。

「どうしたの?」

「いや、俺に挨拶する人居ないから驚いて。」

目を逸し言うと彼女は笑った。

「隣の人に挨拶するのは当たり前でしょ、相手が誰だろうと、ね?」

彼女は俺の前に来て笑顔で挨拶した。

「おはよう。」

目を合わせないように逸していたがふと視線を戻してしまい彼女と目が合った。

「お、おはよう。」

横を向きながら挨拶すると笑った。

「うん、それで良し!」

それ以来彼女は話しかけてくるようになった。


「はい、俺の初恋前編終了。」

俺は立ち上がりお茶を飲んだ。

「いい話。」

希空も立ち上がって隣に来た。

避けると寄ってきた。

「今日は終わり。」

「え〜もっと〜」

一緒に生活し始めて、希空は段々うるさくなってきた。

「小学生の恋なんてあんま覚えてないし。」

振られた初恋なんて全然覚えている。

「早く続き話してよ〜」

断っても何度も言ってくる。

「...覚えてる範囲でな。」


挨拶されるようになってからよく遊ぶようになった。

休日に遊ぶ約束をし、LINEで確認していた。


【河合さん、明日どこ行く?】

【ん〜あ、隣の市に遊園地あったよね、あそこ行ってみたいんだよね。】

【緑川遊園地か、いいね。】


次の日、遊園地に現地集合した。

「あ、誠也君〜」

遠くから手をふる彼女。

「河合さん、おはよう。」

遊園地に入りマップを見た。

「朝ごはん何食べた?」

「朝早かったからあんまり食べてないや。」

彼女は目の前にあるチュロスを見ていた。

「食べる?」

「うん!」

俺達はチュロスを買い朝ごはん代わりにした。

遊んべ出る間は楽しかった。

ジェットコースターで彼女の隣に乗った。

「誠也君は絶叫系得意?」

「うん、まぁ。」

この時、少しでもいい男に見せたくて、嘘をついた。

絶叫系は大の苦手だ。

なんなら高い所も苦手だ。

そろそろジェットコースターが下る。

「楽しみだね!」

笑顔の彼女。

「うん。」

今すぐ逃げたいと思った。

そこから俺は気を失った。


気がつくとベンチに座っていた。

「気がついた?」

俺は彼女に膝枕をされていた。

「あ、ごめん。」

すぐに起き顔を上げた。

その後はずっと無言だった。


これ以上は思い出したくない...

「はい、おしまい。」

希空にそう言い部屋に戻った。

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