嫌いな生活

朝起きるといつも静かな1階から母の笑い声が聞こえた。

希空が気付き2階に来た。

「おはよう誠也。」

「おはよ...」

テーブルにあるパンを取り牛乳を探した。

「誠也君、今日の弁当は希空が作ったんだ。」

優さんが笑顔で言った。

希空の手を見ると絆創膏だらけだった。

「...ありがとう。」

弁当を受け取り登校した。


教室に入ると皆が駆け寄ってきた。

「誠也く〜ん、樋口さんがお前の家から出てくるのを見たやつがいるんだけど〜?」

希空は皆のアイドル的存在。

そんな子が俺の家から出てきたとなるとめんどくさい...

「親同士が再婚したんだよ。」

後ろから茉陽の声がした。

茉陽の後ろに希空が居た。

「そうなのか、ならいいか。」

言い出した「田中光我」が笑顔で席についた。

光我が落ち着いたのは良いが...

俺の家は学校の近くで生徒の登下校によく通る。

そのため、家の前で出待ちされる可能性がある。

まるで芸能人の浮気を嗅ぎつけた週刊誌が群れるようだ。

「ってことは誠也の家に行けば樋口さんと会えるのか!」

「そうだな!今度行っていいか?」

希空の事を大好きな二人組、「香川伊織」「野上康介」が俺を見た。

「いや...希空に聞いてくれよ...」

俺は希空に視線を送った。

希空も3人の視線に気付いて振り向いた。

「な、何?」

「2人が家に来て良いかだって。」

「えっ...お義母さんの迷惑になるし...」

希空は茉陽を見た。

「なんで私を見るのよ。」

「なんとなく。」

希空が笑った。


結局日程は聞いてないが家に来る事になった。

家に着くと希空がリビングに居る母に駆け寄った。

「お義母さん、今度友達が来る事になったんだけど...」

「なら優さんに伝えておくね。」

母は今でも仕事をしている。

優さんは中学教師、母は看護師をしている。

「優さんがいるのか...」

優さんは希空のことを大切にしている。

男子2人が遊びに来るなんて知ったら...

「呼んだ?」

優さんが廊下から顔を出した。

「えっと...その...」

希空はそのまま黙ってしまった。

優さんは察したのか俺を見た。

「...日程不明だけと同級生、男子2人が来ることになってます。」

希空が絶望した顔で「言ってしまった...」と小声で言った。

「なんだ、そんなことか、誠也君もいるんだろ?なら良いよ。」

「えっ...」

希空は「誠也が断れば父さんを理由にして断れる!」と思ったのか俺を見た。

「予定がなければ...」


そう話して数週間、2人が家に来た。

「どうにかして予定を作って!」

と頼まれたが友達の少ない俺た予定を作るなんて無理な話。

朝から希空は不機嫌だった。

「誰かさんが予定作らないから...」

希空の言葉を無視して朝食を済ませた。


お昼になり2人が来た。

「「お邪魔します。」」

こいつら元気すぎ...そう思いながらリビングに案内した。

「樋口さんの部屋ってどこ?」

「俺の隣、てかもう御影な。」

そう言うと2人は「そうだな!」と言い笑った。

希空が服選びに2階に行ったが中々出てこない。

「様子見てくる。」

俺は2人を残し2階に向かった。

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