嫌な同居

昨日、母が同級生の父親との再婚話を持ってきた。

再婚には賛成、相手も良さそうだが...希空と家族になるのか...

嫌ではないが、楽しくはないだろう。

「誠也、昨日の考えた?」

「...再婚には賛成、でも喧嘩しかしなくなるけど...」

そう言うと母が驚いていた。

希空もお義父さんに言わずに仲良くしていると嘘をついている。

「喧嘩...仲悪いの?」

俺は頷き朝食を食べた。


今日、高校は創立記念日で休みだった。

そして、樋口家が来る。

「お邪魔します。」

優さんの後ろに隠れている希空。

高校とは違い少し可愛い...

昨日と同じように下を向いている。

「希空ちゃんこんにちは。」

「こんにちは...」

小学生の挨拶より声が小さかった。

俺は黙って2階に向かった。


部屋で音楽を聞いてると誰かがノックした。

「誰。」

聞いても返事はない。

返事がないなら開ける必要はない。

そのまま放置した。

数分放置するともう1度ノックしてきた。

「...」

ドアに近づくと希空の声がした。

「誠也...入れてほしい...」

いつも馬鹿にするときとは違い元気のない声だった。

ドアを開けたら少し笑顔の希空がいた。

「...何?」

「入れて。」希空はそれだけを言ってドアの前に立った。

入れるまでいるつもりか...

「...」

黙ったまま希空を入れた。


希空は本棚をじっと見ていた。

「漫画、少ないんだ。」

「まぁ、あんまり好きじゃないし。」

部屋にある漫画は父が好きだった漫画の5巻のみ。

アニメは好きだが漫画はあまり好きではない。

「意外、漫画部屋かと思ってた。」

「意外って...要件は?」

希空は俺を見つめたがすぐ逸した。

すると母が俺達を呼んだ。


1階に降りると2人が婚姻届に名前を書いていた。

「私達、結婚するけど...良い?」

母は俺を、優さんは希空を見た。

希空を見ると頷いていた。

「結婚は良いけど、家族としてどっちが上になるの?俺は11月19日、希空は5月9日が誕生日、産まれた順なら希空が姉、俺が弟になるけど...」

母と優さんが「ん〜」と声を出し悩んだ。

「ここは産まれた順で良いんじゃないかな。」

優さんが言うと母も「そうね。」と言った。

希空が姉か...なんか複雑だ。

「分かった、もう出しに行く感じ?」

「ううん、出すのは明日、今日は引っ越しのために部屋の整理をしにだけ。」

母がそういった。

部屋、つまり父さんの部屋とトロフィー部屋だ。

母は父への未練をなくすために数年前、父さんの服、本、道着を捨てた。

何年経っても努力の塊であるトロフィーだけは捨てられなかった。


2階に行きトロフィー部屋に入った。

父が居なくなってから俺も柔道辞めトロフィーも小学生の頃に取った物が最後だった。

トロフィーはホコリを被っていた。

「トロフィーは捨てるの?」

「ううん、物置に全部しまう。」

母と2人で掃除をしていると荷物を運び終わった希空が入ってきた。

「お義母さん、手伝います。」

希空は母から沢山のトロフィーの入ったダンボールを受け取り1階に持っていった。


掃除が終わり希空の荷物を運んだ。

今日から家族4人での同居が始まった。

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