大嫌いなクラスメイトと家族になった。

如月レンゲ

大嫌いなあいつ

父は有名な柔道の選手だった。

幼い頃、俺は柔道を始め、多くの大会で優勝していた。

10歳の時に父は殺された。

ホテルの部屋で毒殺されていた。

容疑者が多すぎるために事件はお蔵入り。

それからは母との生活が始まった。


母子家庭になると色々不便だった。

友達には馬鹿にされいじめられていた。

そんなときはいつも幼馴染の「伊吹茉陽」が守ってくれた。

茉陽のおかげで俺は不登校にはならず高校も少し良いところに入れた。

幼い頃、柔道でスポーツ推薦も考えたが、柔道を続けることはなかった。


朝、一階に降り母に声をかけた。

「母さん、おはよ。」

「あ、誠也おはよう。」

いつも笑顔で声をかけてくれる。


朝食を食べ弁当を持ち玄関に向かった。

「ねぇ誠也、今日早く帰ってこれない?」

「出来るけど、なにかあるの?」

靴を履き家を出る準備が整うと母は顔を赤くした。

「お母さんね、再婚したい人がいるの。」

「...再婚???」

俺は頭が真っ白になり言葉が出なかった。


教室に入るとクラスで人気の「樋口希空」が友達に「両親が再婚する。」

そう笑顔で話していた。

希空は見た目は綺麗で頭も良い、性格以外は完璧だ...

毎度いじめられていた。

母子家庭を馬鹿にされたり、テストの点が自分より低いと馬鹿だと罵る。

樋口希空が俺は大嫌いだ。

「新しいお母さん綺麗らしくてさ、同い年の息子もいるんだって!」

「綺麗なお母さんって良いよね〜」

希空も再婚するのか...

共通点が多く少し不安だった。


授業が終わり下校しようとした時、茉陽に声をかけられた。

「誠也、今日暇?」

「いや、今日は用事があって。」

そう言うと希空が茉陽に駆け寄り二人で帰っていった。

家に帰り私服に着替えファミレスに向かった。


ファミレスに入ると男の人と母、そして希空がいた。

「えっと...この人は?」

「紹介するね、再婚したい樋口優さんと誠也と同い年の樋口希空ちゃんです。」

ニコニコしている男性と下を向いている希空...

「2人はあったことある...かな?」

希空は俯いたまま何も言わない。

「まぁはい。」

母さんの隣に座り料理を頼んだ。


ずっと俯いている希空。

ニコニコしている優さん。

そして母もニコニコしている。

気まずい...

いつもなら馬鹿にしてくる希空も流石に親の前ではできないのだろう。

「誠也君、学校での希空はどうかな。」

そう言われ希空を見ると少し不安そうな顔をしていた。

まぁいつもの事を言ったとして、何になるんだろうか...

まだいい面だけを伝えたほうが良いな。

「希空さんは学校では天才美少女と人気ですよ。」

希空はそう聞いてホッとしていた。


食事をし、店を出た。

親同士仲良く話しているのを見ていると希空が話しかけてきた。

「さっき、なんで馬鹿にしたこと言わなかったの。」

「言った所でなにか変わるのか、別に言っても良かったんだぞ。」

そう言うと希空は小声で「ありがとう...」と言って優さんと帰っていった。

あぁ、親が再婚したら学校生活崩れるだろうな...

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