第9話

 その日の夜私は夢を見た。久しぶりの夢だった。もう、忘れかけていた、里子として引き取ってもらった後の事だった。

 

ザアアアアアアーーーーーーーー

                          

雨が降ってきた。ジメジメとした日本特有の雨。この季節はカラッとした夏のはずなのに、最近の異常気象とかいうやつで、ここ数日ずっと雨が降っている。

私は平日でも賑わっている都内の喧騒と雨の音に紛れながら、一人歩く。

こんなにも周りは賑わっているのに、その中で一人で歩いていることを自覚するとなんだか孤独に感じた。親に捨てられた時から、私は人を信じられなくなっていた。


足にかかる水しぶきを見ながら、私は人が多い青の交差点を歩いた。

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