奴隷との新しい生活
010奴隷の服
家に天使がいる生活ってどうだろう?
感想を言ってもいいだろうか。
はっきり言って最高だ。
大学生なのに外に出られないというのはそんなにおかしいことだろうか。
大流行のウイルスなど関係なく元々通信制の大学なのだから授業は当然オンラインだ。
通学の必要がないのだから、俺は当然家で授業を受ける。
当然家を出ない。
満員電車も、満員バスも無関係。
歩道を歩いても自転車が突っ込んでくる。
俺はそんことにイライラせずに心穏やかに暮らしたいだけ。
世の中はとても生きにくい。
少なくとも俺には辛く当たる。
要らないものを次々切り捨てていくと、今の生活になった。
2階建てアパートの2階、ワンルームに住んでいる。
風呂付き、トイレ付き、そして、天使も付いている。
特に外に出る必要はない。
買い物はネットスーパーで事足りる。
今すぐ必要なものなどほとんどないのだ。
我が家には天使がいる。
「かみさま、おはようございます」
最近はこの天使が朝起こしてくれる。
『かみさま』は俺のニックネームであり、俺は神様でも何でもない。
ただの大学生だ。
銀髪ロングの天使は、キューティクルを輝かせてとてもきれいな髪をしている。
すごく頑張って洗った結果であり、最近ちょっといいシャンプーとコンディショナーとドライヤーを買い替えた成果ともいえる。
名前は『シロ』。
俺が名付けた。
名前がなかったので、(仮)だけど。
最近では笑顔を見せることもある。
どこか卑屈さが残るところもあるが、笑顔と言って間違いない。
上目遣いが多いかもしれない。
身長は150cmもない。
小学生くらいの慎重だが、スタイル的には細身で良い方じゃないかな。
胸はほとんどふくらみがない。
俺のTシャツを着ていてもいやらしさがない。
ただ、前かがみになったとき、首の部分の隙間からたまに乳首が見えるときはやっぱりドキッとする。(少し前スポーツブラを買ってあげたので今はもう見えない)
シロは元々隣の家に住んでいた・・・というより、監禁されていた?
軟禁されていた?
飼われていたという方が正しいのかもしれない。
現代の日本で奴隷のような生活を送っていた。
部屋に閉じ込められて、床に落ちている食べ物を食べ、風呂にもろくに入れない状態。
しかも、虐待されていたらしい。
まずは、食事なし。
シロを見つけた時、骨と皮しかないような状態で、男か女かも分からない状態だったし。
次に熱湯シャワーと思うけど、全身のあちこちに火傷の跡が残ってる。
ただれたりはしていないけれど、赤くなったところは消えない。
顔にも残ってる。
シロは肌も白いからやけどの跡が目立つ。
時間とともに段々と消えていけばいいのだけれど・・・
幸い奴隷時代の記憶はあいまいらしい。
極度の栄養失調と嫌なことは忘れる自己防衛本能かもしれない。
彼女の飼い主(両親?)は夜逃げしたらしく、現在も隣の部屋は空室だ。
シロは俺の家に住むことになった。
彼女も家を出られない。
俺も家を出られない。
たった二人だけの小さな世界で、彼女と俺だけで「奴隷」と「かみさま」の生活を始めたばかりだ。
早速だが、問題が起きた。
元々シロは着る服がなかったのだけれど、夏も過ぎて外気温が下がってきた。
朝晩寒くなってきた。
シロももう俺のTシャツだけでは寒いだろう。
「シロ」
「はい、かみさま」
「今度こそシロの服を買おう」
「服・・・ですか?シロ寒くないですよ?」
「いや、朝晩寒いだろ。これからもっと寒くなるぞ?」
「冬に雪が降ったときにベランダにいたら寒かったですけど、今くらいならそんなに・・・」
なんだか涙が出てきた・・・
どんな生活だったんだよ・・・
「シロがかわいいと俺も嬉しいから、俺のTシャツを卒業して服を着よう」
いくら下着を買ってやったと言っても下着とTシャツしか着ていないので、生活していると色々とちらちら見えて困る。
「シロがかわいいとかみさまはうれしいんですか?」
「ああ、そりゃあな。家にかわいい子がいたら嬉しいに決まっている。スキップして喜ぶさ」
「シロ、服着ます!」
なぜか、直立不動で敬礼のポーズだ。
いつものように、ノートPCでショッピングサイトを回ってみて、それらしい服を見つけたらシロに確認を取って買う・・・という流れ。
ただ、シロは『いや』と言わないので、実質俺の気に入った服を着せることになる。
下着も結局俺が見つけたやつだし・・・
サイズも俺が選んだし・・・
まさか17歳だったとは・・・
小学生とか中学生くらいだと思ってたし。
何か、俺の中のいけない気持ちが暴走しそう。
リビドーが・・・
気を取り直して、服を・・・
ショッピングサイトで『ファッション レディース』で探してもピンとくるものがない。
そもそもシロに似合う服ってどんな服だろう。
初めて会ったときは茶色くなったぼろ布みたいなのを羽織っていた。
洗って今でも一応とっているけど、この家に来てからは1度も着ていない。
て言うか、あれはもう服じゃないだろう。
そうでなくて。
シロの服・・・普通の女の子は家でどんな服を着ているのか?
彼女がいたこともなければ、女友達もいないので、まるで想像がつかない。
『部屋着』とか『ルームウェア』で調べると、ゆるっとした快適そうな服は出てくるけど・・・イマイチピンとこない。
どうせ外に出ないのならば、いっそ1日中パジャマでいいのではないだろうか。
いつかシロが外に出られるときのために、ちゃんとした服があったほうがいいのか・・・
あ、『キャミソール』ってひらひらしてかわいいな。
下着の上に薄くてひらひらしたのを着るってなんかエロイな・・・
「かみさま、どんな服がお好きですか?」
急にシロが横から画面を覗いてきた。
とっさに俺は画面を閉じてしまう。
「うーん、どんなのがいいのか・・・よく、よく分からないな・・・」
「そうですか。シロはかみさまがかわいいと思う服だったらどれでもいいです」
「うーん、こんな時は・・・色々試すか」
「色々?・・・はい」
とりあえず、何か1着買って着てみる。
気に入ればそれを着て、気に入らなかったら他を買う。
そして、1着目に選んだのは・・・ピンクのセーラー服だった。
それもドンキで売られているようなペラペラコスプレ服じゃなくて、ちょっとちゃんとしているセーラー服。
2日後、早速届いてシロに着てもらった。
半袖でミニスカートなので、なんかエロい。
シロは細身なので、どんなものでも似合う。
そして、かわいい。
顔立ち的にも整っている。
そして、銀髪。
なんだか非日常的な感じが、非日常的なピンクのセーラー服と微妙に合っている。
ただ、手足が出るとやけどの跡が隠れない。
腕はどうしようもないので、足様に白いニーソを買ってやった。
「似合いますか?かみさま」
床に座っている俺の前にシロがピンクのセーラー服と白いニーソを着けて立っている。
何だろう、この罪悪感。
心が落ち着かないくらいエロい。
「両手上げてみて」
「はい、かみさま」
素直に両手を上げるシロ。
セーラー服の丈が短いので、両手を上げると、下から見上げると下着が見えてしまう。
ダメだこれ。
こんな天使が目の前にちらちら見えたら何も手に着かない。
「ありがとう。手は下げていいよ」
「はい」
「あたたかい?」
「そうですねぇ、Tシャツよりは・・・あんまり変わらないかも?」
Tシャツの上に着ても良かったのだが・・・
「一周回ってみてくれ」
「はい」
シロはくるりとその場で回る。
短いスカートが遠心力で宙を舞い、今度はパンツがちらりと見えた。
ダメだ、これ。
本格的にダメだ。
下手したら、1日中シロを目で追いかけているかもしれない。
シロはまだベッドと壁の隙間に嵌るように体育座りで座っていることがあるが、その時はスカートの中が丸見えになってしまう。
Tシャツとどっちが・・・という話もあるが、とにかく似合いすぎてこれはダメだ。
「シロ、その服は着てもいいけれど、メインにするのはやめよう。別の服を買ってあげるから」
「はい、かみさま。あんまりかわいくなかったですか?」
座っている俺の横に猫が歩くようなポーズで不安そうな顔のまま近づいてくるシロ。
上目遣いが心をギューッと鷲掴みにする。
やべぇ、かわいい。
こんな天使が家にいたら普通の生活が危ない。
(なでなでなでなで)
はっ!気づいたらシロの頭を撫でていた。
シロは、猫の様に目を細めて気持ちよさそうにしている。
「その服はかわいいから、いつもその服だと俺が他に何もできない。かわいい服が良いと言ったけれど、もっと普通の服の方がいいみたいだった」
素直に白状したら、シロは俺の後ろに回り込み抱きしめてきた。
「うにゅ・・・かみさま・・・好きです・・・」
俺の方が好きなんだよ。
言ってないだけで。
「見たくなったらいつでも言ってくださいね」
シロが立ち上がってスカートの裾をつまんで1周りして見せた。
意識してなのか、無意識なのか、それがすごく可愛く見えた。
そして、またパンツが見えた。
おれは頭を抱えるポーズで顔を伏せた。
「あれ?ダメでしたか?かわいくなかったですか?」
「いや、かわいいけど、かわいすぎた。あと、パンツ見える」
「パンツ?」
そう言うと、シロはスカートの前裾をつまんで持ち上げ、俺にスカートの中をダイレクトに見せた。
ふふふふふふふふ。
かわいいし、エロい。
ダメだ。
直視できない・・・
「かみさま、パンツ好きですか?」
「うーん、好きだが・・・それを素直に好きだと言ってしまうと何かダメな気がする・・・」
「はいっ!」
再度スカートをめくって見せてきた。
「やめなさいっての!」
シロのスカートを押さえる。
「かみさまが元気になってよかった」
「おれ?元気なかった?」
「はい、なんか・・・」
そう言えば、シロを引き取って『俺が何とかしないと』って気負っていたかもしれないな。
顔に出ていたのか。
鏡なんてほとんど見ないから全く気付かなかった。
「はいっ!かみさま、元気出して!」
「だから、それをやめろって!」
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