004奴隷の着替え
生きていくうえで「衣」「食」「住」は重要だ。
シロはここに来た時、茶色になったシャツみたいなものだけを着ていた。
下着すらも着ていなかった。
相当にひどい扱いを受けていたみたいだ。
初日は俺のTシャツを貸したけれど、ずっとそういう訳にもいかず、服を買うことにした。
普通ならばお店に行って「どぎまぎ・イベント」が起こるところだが、俺は普通に通販で買った。
ただ問題は、服はデザインを選んだり、サイズを選んだりするのは難しい。
どんなものが似合うのか全く分からないのだ。
「シロ、シロはどんな服が好き?」
俺はテーブルにノートパソコンを広げ、ショッピングモールのサイトで「女子 部屋着」とか「女子服」とかで探してもイメージしたものには届かない。
まあ、そもそも自分がどんなものを想像しているのかも分からないけれど。
「私に服なんてもったいないです」
シロが床に座ったままで答えた。
「シロは慎ましくて偉いなぁ」
椅子のすぐ横に座っていたので、頭をなでる。
「にゃあ・・・」
鳴いた。
猫かな?
シロは頭をなでると猫の様に目を細めて嬉しそうにした。
「シロは頭を撫でられるのが好きだな」
「はい・・・かみさまに頭を撫でられると心が『ほわぁ』とします」
「そうか、そうか、『ほわぁ』か」
頭をなでながら続けた。
「服は大事だよ。裸で過ごす訳にはいかないし」
「はい・・・私の服なんて・・・もったいないです・・・」
「まあ、見てよ。俺が買いたいんだ」
「はい・・・」
あまり気乗りしないみたいだけど、渋々画面を見ていた。
色々なページを見せてみた。
「・・・」
「どんなのが好きなの?」
「服なんて買ってもらったことがないのでよくわかりません・・・」
不憫すぎる・・・
俺は思わずシロを抱きしめていた。
シロがどんな顔をしているか分からなかったが、おとなしく抱きしめられていた。
*
結局、シロは服を選びかねていた。
ネットで商品を見たりした経験がないらしく、色々な服を見せてもイマイチピンと来ていないみたいだ。
とりあえず、下着を7枚買った。
なぜ、7枚かと言うと、俺も下着は7枚持っているからだ。
洗濯はできるだけしたくないので、1週間着て、週末にまとめて洗うという生活をしていたのだ。
『下着=7枚』と言う図式が出来上がっていたので、当然の様に7枚だったのだ。
下着と言っても、パンツは何かそれらしいものを7枚選ぶことはできた。
『下着 女』のキーワードで探せばネットショップで簡単に見つかった。
サイズはS・M・Lで選ぶだけでいいみたいないので、ヒップサイズにより対照表で選べばいいらしい。
ちょっとした後ろめたさもありながら、メジャーでシロのヒップサイズを計り『S』を選んだ。
問題は『上』だ。
ブラジャー。
そんなの買ったことがない。
『スポーツブラ』というのを選べばいいらしい。
シロは1か月前まで骨と皮しかない状態だった。
1か月バクバク食べて少しは肉が付いたけれど、まだまだ細い。
胸なんか慎ましいというか、フラットと言うか、スリムな感じだ。
そもそも必要なのか、シロに。
しかも、身長、体重、トップサイズ、カップサイズの情報が必要らしい。
だが、結局S・M・Lから選べばいいらしいので、とりあえず、『S』を選んでおいた。
もし届いたのが小さかったらワンサイズ大きいのを買えばいいだけだ。
こっちはお試し要素もあったから3枚だけ買った。
サイズが合っている場合、洗い替えとしてあと2枚ある。
それをローテーションしている間に残りの4枚を買う作戦だ。
「とりあえず、下着はよし、と」
俺はテーブルでノートパソコンの前でちょっとぐったりしていた。
買い物でこんなに疲れるのは初めてだ。
俺は自分が買いたい物しか買わないので、買うときはいつもわくわくしながら商品を選ぶ。
全く疲れない。
思えば他人のために買い物をしたのはこれが初めてだったかもしれない。
「服は・・・また今度な。どんなにがいいかちょっと考えてみるよ」
シロを見ながら言った。
すると、シロは立ち上がって大きく頭を下げた。
「私のために・・・ありがとうございます」
「ああ、気にしなくていいよ。必要なものだろ。裸に近い状態でいられると、その・・・俺も・・・」
「その・・・汚いものを見せてすいません」
シロは頭を下げたまま続けた。
「いや、汚いっていうか、むしろ・・・いや、なんでもない」
「はい・・・」
シロはきょとんとしていたが、何もいうことができなかった。
とりあえず、頭を撫でた。
シロは相変わらず目を細めて嬉しそうな顔をしていた。
*
3日後、シロの下着が届いた。
開けて渡すとすごく喜んでいた。
身に着けるものだから、一度洗ってから着た方がいいと伝えたが、すぐに着たいといって着ていた。
まあ、本人がいいならいいけど。
「かみさま、見てください!ピッタリです!」
シロが下着姿で目の前に現れた。
「まあ、似合うんじゃないか?」
すごく目のやり場に困ったので、目をそらしつつ答えた。
「かみさま!見てください!」
「いや、だから・・・」
絶対顔が赤くなっていると思う。
少しだけ肉が付いたシロの身体は、スリムな感じでこれはこれで魅力的だった。
俺は下着姿の女を見て冷静で入れるほど大人ではなかった。
相手は小学生、相手は小学生、と自分に言い聞かせ抑えた。
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