第420話 X-1000
ペッケはなんとか取り戻した理性と共に力強く立ち上がった。それでも膝はまだガクガク、股間の膨らみも未だ健在であった。
「おぬし、本当に15歳なのか?」
『そうでーす♡』
ネル・フィードはひとり思っていた。エルフリーナの魔力を帯びた魅力の前では、経験ど豊富な老人ですら、魂を奪われてしまう。ペッケが彼女の年齢を疑うのも無理はないと。
「15歳では仕方がない。法に触れる。やめておくか。ジョン、ハウス!」
お利口なペッケの
「もう、エロジジイ! なにしてもらおうとしてたのよ! まったく」
実の祖父の少女に対するあり得ない発言に、声を荒げるアイリッサ。その横で、肝心のエルフリーナはキョトン顔。フェラぐらいしてあげるのに……だった。
そんなお口が半開きのエルフリーナが、ペッケの股間の次に気になっていたのは、ガレージに置かれた無骨な人型の機体。
『あれ、すごーい♡ 大きくて硬そうなロボットだあ♡』
「ふむ。おぬし、さすがに目の付け所が違うな。あれはAT。その名も『ウォーマシン
ネル・フィードも、その戦車を擬人化したようなパワフルな機体がとても気になった。
「AT? X-1000? めちゃくちゃかっこいいですね!」
「アーマード・トルーパー。略してAT。天才のわしを持ってしても、構想から完成までに、10年の月日をを要した代物じゃ。ネル君にもX-1000のかっこよさが分かるか?」
「もちろんですよ。動くんですか? 乗りこんで操縦するタイプですよね?」
「その通り、なんじゃが。まともに動かすにはこの星の稚拙なエネルギーではこと足らんのじゃ。起動できれば現在起きているくだらん戦争なんぞ、この一機であっさり終結させてやるんじゃがな」
「そうなんですね。動くところ、いつか見てみたいです」
宇宙にもペッケの作ったATのような戦争用ロボットは腐るほどあった。惑星間の戦争にはよく使用され、ネル・フィードも過去に何度か搭乗した経験がある。
『動くところをいつか見てみたい』
そう口にはしたが、それはペッケの技術者としての情熱に敬意を表した言葉に過ぎない。
戦争は悪。兵器はゴミ。無意味な大量殺戮などあってはならないもの。そう思いつつ、ミリオタのネル・フィードはX-1000の操縦桿を握る自分を想像して、興奮していた。
「よし。では、このスマホのロック解除に早速取り掛かるとする。あがって茶でも飲んでおれ!」
「おじいちゃん、お願いね!」
「ペッケさん、お願いします」
『解除が終わったら、お礼にほっぺにチューしてあげるね♡』
「ほ、本当かっ? が、がんばるわいっ! ふおおおっ♡」
エミリーのスマホの中には、一体どんな情報が秘められているのだろうか? ついに、天才ペッケの本領が試される。
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