第414話 Give and take
ギュアアア─────ッ!!
ズオッ!!
ブアッ!!
スタッ!!
『ただいまぁっとっ!』
ミロッカは龍のように
「君はエミリーさんの意識に潜り込んだ。違うか?」
『あんた、鋭いじゃん!』
エルリッヒは自分の予測力の高さを自負するのと同時に、波打つ驚きの感情にも心を揺さぶられていた。
「君のその能力。差し支えなければ、教えてくれないか?」
『差し支え? んなもんないよ。知ったところで、どうにもできはしない。私ってそういう次元だから』
「では聞く。君はエミリーさんに一体なにをした?」
そう尋ねる彼の声は、普段のマットで落ち着いたトーンではなく、若干の憤りを帯びている。
『え? 別に。いい夢を見せてあげただけ。死にたくなるぐらい素敵なやつをね』
「君は夢を操る。そういうことか?」
『そんな生優しいもんじゃないってのは、今の不細工なエミリーちゃんを見れば、だいたい想像つくよね?』
エミリーはふたりの足元で大量の泡を吐き、死ぬ間際の虫ケラの如く激しく痙攣していた。
愛するマギラバの意識に侵入する為に目覚めた、変態ミロッカの特殊スキル『ドリーム・マニュピレーション』は、いつ、どのタイミングで発動されたのか?
その瞬間のVTRがございます。振り返ってみましょう。
第411話『エミリーの目覚め』より
髪も服も皮膚も、見るも無惨に炭化していたはずの彼女は、すっかりその瑞々しい美貌を取り戻していたのである。
「う……」
「エミリーさんのお目覚めだ。もう、君には太刀打ちできない。死に方を選ぶ権利すらない」
『ざっけんな……!』
ピッ!
※映像停止
この瞬間、ミロッカは
なので412話、413話はミロッカが操作、探査したエミリーの脳内のお話だったのです。
では本編に戻りましょう。
正に強者の直感。あのままエミリーを起こしてはいけない。そう察知したミロッカの判断は正しかった。
彼女は、
『なかなかうまくいかなかったけど、
「君という人は。抜け目がないな」
『攻撃がすり抜ける、あんたの秘密も探りたかったけどダメだったわ』
「パウル様は偉大なお方だ。君のような特殊な存在の出現にも、当然、対処しておられたということだ」
『パウル様、すごっ!』
「そう容易く、あの方の実像に辿り着くことはできない。必ず君たちには、死という名の鉄槌が下されるだろう」
『その鉄槌を私に下すのはさ、あんたじゃないわけ?』
エルリッヒは痙攣の治まったエミリーの脈を確認。息を引き取ったのを確認した。
「君の能力を教えてくれたお礼に僕の能力についても教えてあげよう。それこそ、知ったところで君にはどうすることもできない」
『それを聞ける私ってさ、ひょっとしてすごく運がいいんじゃねっ?』
ついに闇の能力者、ハンス・エルリッヒの謎が判明する時が来た。
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