第405話 私はゴイゴイスー♡

 えくれあ♡です。


 さてさて、過去に何回かネルさんの夢に出てきたミロッカちゃん。


 実は彼女、ストーカーパワー全開で目覚めさせた特殊能力『ドリーム・マニュピレーション』を使い、ミューバに来る前のマギラバさんの意識の中に潜り込んでいたんですねー。


 その為、闇の能力者との戦いが始まるのと同時に、自分の事が『必要である』と思い出させる為に『自分の夢』を見せ続けていたんですね。


 もちろん、ネルさんは夢をコントロールされているとはつゆ知らず、単にミロッカちゃんの悪夢にうなされているだけだと思っていました。


 ホラーバッハ君の精神攻撃を受けた時も、ミロッカちゃんが意識の中にいてくれたお陰で助かっていましたね。


 彼女がいなかったら、ネルさんはアイリッサちゃんのエンジェル・チェーンソー地獄で、廃人になっていてもおかしくはなかったわけですから、皮肉なものです。





 前回、就寝中のマギラバさんの意識の中にまんまと侵入した変態のミロッカちゃん。実は彼女の横暴はそれだけに留まってはいなかったんです。


 続きをご覧下さい。









『よし。ここからが本番よっ!』


 ミロッカは愛するマギラバの意識の中へダイブする。深く、深く。


 ゴボゴボ、ゴボゴボボ……


 やがて、到達したのはマギラバの戦闘能力を司る領域。


『着いた。やっぱり私はゴイゴイスーだわ♡』


 ミロッカがなにをしようとしているのか。お気づきだろうか? 彼女はマギラバに自分を必要とされたい。


 その為に不可欠なこと、それは……


 『マギラバの弱体化』


 彼女は執念で身に付けたもうひとつの能力をここで発動することにした。


『マギラバ。ダークマター最強と自負しているようだけど。その実力、いま私がシェイプしてあげる♡』


 ミロッカは百戦錬磨のマギラバの戦闘の記憶、センス。特に『必殺技』の記憶を封印しにかかった。


能力封印アビリティ・セールドッ!』


 ギュアアッッ!!


 ギュアアッ─────!!


 ギュアアッッ!!


 マギラバの膨大な戦闘の記憶が、ミロッカの手の平に吸い込まれていく。


『やっほー! ゴイゴイスーっ♡』


 ズルズルッ! ズルルルルルッ!


 コオッ! シュポンッ!!


 マギラバの意識から、究極の必殺技や本来の格闘センスが抜き取られ、封印されてしまった。


『程よく戦えるようにはしといたからね。マギラバ♡』


 マギラバの意識から、全ての戦闘能力を奪ってしまっては、腐神にすら殺されかねない。それはまずい。


 彼女は大雑把ではあるものの、マギラバがちょうど良くピンチになるように計算し、能力を封じたのだった。


『私は寝るわ。ザコ・ダークマターのマギラバのピンチは必ず訪れる。自分が弱くなっていることにも気づかず、ミューバに行けばいい』


 こうしてマギラバは数日後、第3ミューバに辿り着き、ミロッカを脳内に携えたまま、ネル・フィードになりすます生活をスタートさせるのだった。

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