第403話 Frozen Time

氷雪冥界アイス・レルムッ!!」


 ヒュオオォ───────ッ!!


 必殺の魔風の刃の断首刑デモニック・ウインド・デカピテーションが放たれた僅か0.2秒後。エミリーの体から、凍結領域が花火の様に一瞬にして屋上全体に広がった。


 静寂が辺りを包む。まるで、時間まで凍ってしまったかのように。



 シュオオオオオ…………!!



「思ってたより、小さくなれたのね」


 エミリーは最大限に感覚を研ぎ澄まし、超小型化して自分にやいばを向けるエルフリーナのスピード、パワー、ポジション、その全てを的確に把握していた。


 アイスリンクと化した足元には、何が起きたのかを知る間もなく、瞬間冷凍された極小のエルフリーナが息もなく転がる。


 マギラバ、アイリッサ、ともに凍りつき、体の自由はもちろんの事、意識も奪われ戦闘不能状態。一瞬で決着はついたのだ。


 恐るべき、judgementジャッジメント の実力。


「エルフリーナを踏み潰してダークソウルを回収。後の2人は、このまま仮死状態で連れていくのがベストね」


 エミリーは、白衣のポケットから最新機種のスマホを取り出すと、ダークソウルを封印する為のアプリを、ニタニタしながら起動した。


「こんなもの作れるって、パウル様の偉大さを感じずにはいられない♡」


 スマホの画面に、怪しい色に点滅する魔法陣が不気味に映し出される。


「エルフリーナちゃん、あっさりだけど、死刑執行するからね」


 死神の大鎌の如くスマホをかざしながら、氷の粒と化したエルフリーナに『勝利の確信』に満ちた足音を響かせ、エミリーがゆっくりと近づいてゆく。


 コツ、コツ、コツ、


 コツッ!


「さようなら。役立たずさん」



 エルフリーナの命、風前の灯。









































 マギラバは夢を見ていた。



 それはとてもいい夢ではなかった。



 あるの夢だ。



 自分の事を、愛してくる女の夢だ。


 マギラバはその女を知っている。名を『ミロッカ』と言った。


 彼女もマギラバと同じ、ダークマターの種族。


 ミロッカはネル……いや、マギラバの活動を応援している者の1人だった。


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