第402話 刹那

 エミリーの実力は、自分たちを遥かに上回る。その事を身をもって痛感したネル・フィードとエルフリーナ。


 アイリッサの能力に気づいたエミリーが、彼女を先に標的にする可能性もある。2人には的確な判断と、躊躇なき攻撃、さらに完璧なコンビネーションが求められる。


「頼んだぞっ! エルフリーナ!」


『オッケー!』


 ギュアア────ッ!!


 ドウンッ!! 


 ブオオオオオオオオオオオッ!!


『だああああっ────!!』


 ネル・フィードはパワー全開のダークマター・ソードで斬りかかる!


「だから、それはなんなのよ!?」


 ズバッ!! ズバッ!!


 シュシュンッ!!


 エミリーはネル・フィードの能力に興味津々で、興奮しながら攻撃をかわし続ける。


『はあっ! はあっ!』


 ネル・フィードの息が乱れる。明らかな実力差のある相手との戦闘ほど、体力を削られるものは無い。


 しかも、再び凍らされ、砕かれるかも知れないという恐怖。同時にそれとも戦っているのだから無理もない。


「確かそれ『ダークマター』って言ってたわね?」


『それがどうしたっ?』


のあなたが、宇宙の神秘を知っているのは、なぁぜ? なぁぜ?」


『はあっ?』

(このミューバの文明力で、ダークマターの存在を知っているのは一部の人間だけとでも言うのか?)


「ダークマターの存在は一部の科学者のみが知り得るもの。情報の漏えいは許されない」


『ダークマターの存在は誰でも知ってるだろ? さすがに扱うことはできんだろうがな』


「じゃあ、あなたがダークマターを使って戦えるのは、なぁぜ? なぁぜ?」


『お前に教える気はない!』


「そう。あなたも、あの光の玉を使う女も、氷漬けにしてダークソウルと共に確実に持ち帰らせてもらう」


 ネル・フィードは先ほどからのエミリーの言動に疑問が生じていた。


『俺やアイリッサさんを持ち帰るとは どういう意味だ? パウルへのプレゼントだとか言っていたが』


「ある意味……」


『なんだ?』


「あなたたちはダークソウルよりも価値があるかも知れない。そういうことよ」


『また価値か。意味が分からん!』


 その刹那、エミリーが白銀の輝きと共に攻撃の構えをとるッ!


究極凍結フローズン・ノヴァッ!!」


 シュウッ!! ドウンッ!!


『ぐわぁっ!!』


 シュウッ!! ドウンッ!!


『うおっと!!』


 シュウッ!! ドウンッ!!


『うわあっ!!』


 0秒で襲いかかる究極凍結の連続放射。マギラバは必死にかわし続ける。逃げ続ける!


 パキパキッ!! パキキキッ!!


 パキッ! ガシャンッ!


 屋上のあらゆる物が凍りつく!


「あはははッ! 時間の問題ね!」


 シュウッ!! ドウンッ!!


『うおわぁー!!』

(いける! 今だ、エルフリーナ!)


 ネル・フィードが心の中でそう叫んだ正にその時、エルフリーナは超小型化し、エミリーの首を切断すべく、彼女に急接近していた。


 エミリーの喉元まで1メートル。エルフリーナは必殺の真空斬撃をフルパワーで放つ!


魔風の刃の断首刑デモニック・ウインド・デカピテーションッ!!』


 シャキイィッ!!


 ブオオオオオオオオオオオッ!!


 魔風のやいばがエミリーの首を斬り落とすまで、あと0.5秒。








 しかし、0.2秒後……

















 この戦いは終わる。


 

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