第379話 私は最強
『……って感じかな?』
ゼロのエルフリーナを抱く腕の力は自然と強くなっていた。あまりにも彼女の生い立ちが悲しすぎて、目頭が熱くなり、ペニスに至っては完全にその硬さを失っていた。
「さっきの車椅子のあの子が君だったのか。アンネマリー」
『だーかーらー! 私はアンネマリー嫌いだって言ったじゃん。エルフリーナなの!』
「君は私と少しでも長くその姿で会う為に、変身せずにアーキヴァハラまでやって来たということなのか?」
『そうだよ。ゼロさんに会うのを楽しみにしてた。メッセージ読んでから、あまり寝れなかったもん』
ゼロはエルフリーナにしていた腕枕をそっとほどき、起き上がった。
「私は君とSEXはしない」
『なんでっ?』
エルフリーナは信じられないといった表情でゼロを見上げた。
「私は君を愛していないからだ」
『そ、そんなこと、だって! 気持ちよかったよ! 愛のあるSEXは気持ちがいいんだよ!』
「違う。君が気持ちよかったのは、私のSEXテクがあまりにも凄かったからだ」
『違うもん! 私はゼロさんのことが大好きだもん! ゼロさんは私のスーパーダーリンだもん!』
「エルフリーナ……」
『あ、そうか! 私がHIVに感染してるって言ったから? 大丈夫、悪魔の力をもらってそんなの消えたんだから! 安心して!』
「エルフリーナ、そうじゃない」
『だって、私は! 誰よりも愛される価値のある……こんなにかわいいエルフリーナなのにッ!!』
「この世界には君のことをちゃんと愛してくれる人が必ずいるんだ」
『愛してくれる人? それはゼロさんじゃないの? ねえ?』
「ああ……」
ゼロは脱いだアパレル製品をすべて身につけ、chiepinさんのチェキも再び股間にしまった。
『私はこんなにゼロさんのことが好きなのに? 愛してるのに? それなのに愛してくれないんだ……』
「君が私に好意を抱いてくれたことはとても嬉しい。それは間違いない」
『じゃあ愛してよッ! SEXしてよッ! なんで服着ちゃうのッ!?』
「君に愛を知ってもらう為だ。アンネマリー」
『えっ?』
「私が服を着たのは、君のことをちゃんと知りたいからだ。今からSEXをしたとしても、そこに愛はないんだよ。アンネマリー」
『や、やめて! その名前で呼ばないで! 私は最高の女なの、顔も体も最高なの! 誰よりも愛される価値のあるいい女……』
「アンネマリー、人は見た目だけじゃないんだ。思い出すんだ。お母さんが言ってたことを」
『あ、あんな狂った母親のなにを思い出せって言うのよッ!』
「みんな、マリーの笑顔が大好き」
『!?』
「女の子は笑顔が大事」
『や、やめてよ……!』
「笑顔の絶えない女の子になれと、お母さんは君に言った」
『あ、あんなの適当に言ったに決まってる! あの人は私のことなんて面倒臭い障害持ちの汚物としか思ってなかったんだから!』
「そうは思わない」
『そうなんだよ……』
「服を着るんだ」
『嫌だ。ゼロさんとSEXする』
「しない」
『殺すよ?』
「君を人間に戻す為に私は戦う。かかってこい。闇の能力者 エルフリーナ」
『勝てるつもりでいるの? 私はピンクローザ、小濱宗治、ホラーバッハ、その辺とは次元が違うんだよ』
「次元が違うだと?」
『実質、パウル様を除く6人の中で、私は最強だと思ってる』
「そういえばメルデスも闇の能力者だったようだな。怪しいとは思っていたが」
『メルデス神父とエルリッヒさんの能力に関しては謎が多いけど、さっき言った3人になら秒で勝てる。私の強さはそのぐらいのレベルなんだよ』
「あの3人に秒で勝つだと?」
『私に愛をくれないなら、ゼロさんも もういらない! 殺してやるッ!』
シュオオオオッ!!
シャキンッ!
エルフリーナは右手に魔風を集め、刃と化した。その目は涙で潤んでいた。
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