第376話 同胞の死
3月、ビアンカに続き、書店のアリカ。4月、美容院のレイチェル。5月、ホテルのフロントのミレーヌと雑貨屋さんのユリアネ。私はドールデリバリーをそつなくこなしていた。
一方、マスコミはそれを『謎の美女行方不明事件』として報じ、ディーツ全土を震え上がらせた。私の能力により、誰にもバレることなく5体の永遠のレディードールを手に入れたメルデス神父はとてもご満悦だった。
私も3日前からクズ男を殺した後、ティッシュに丸めて捨てるのをやめた。死体をそのままホテルやネカフェに放置することにしたんだ。
エチエチもいい感じに世に出回り、噂の激ヤヴァドラッグとして認知された。それにより、世間はさらにざわついた。
にもかかわらず、エルフリーナの体とエチエチを求めるメッセージは満場エッチにひっきりなしに届いていた。なんと愚か者の多い世の中なのか。
中には
ブシャアッ!
ブシャアッ!
ブッシャアアアッ!
そして、闇の能力者の6人がパウル様の元に集結する6月6日を1週間後に控えた5月31日の夜だった。
ピコンッ!
メルデス神父からのLINEが入った。なになに? 慌ててる様子だな。
〈 メルデス 十
エルフリーナ氏、緊急です。
6月6日が迫っているので我慢しよう思っていたのですが、どうにも我慢ができません。
コンビニの店員さんなのですがクラーラさんという方です。
僕ちゃんの落としたポップキャンディを拾ってくれた心の優しい女の子なのです。
21時には仕事を終えるはずです。
コンビニの場所と盗撮したクラーラさんの写真を添付しておきます。
何卒よろしくお願いします。
既読 20:08
「あはは! やっぱりドールデリバリーじゃん。しょうがないなあー」
私はすぐに『了解』と返事を送った。それとほぼ同時だった。
ピコンッ!
「ん? エルリッヒさんからだ。めっずらしー!」
私はそのエルリッヒさんからのLINEの内容にマジで驚いた。
〈 ハンス・エルリッヒ
本日、我々の仲間であるピンクローザが死んだ。
闇の能力者を狩る者が現れたと言わざるを得ないだろう。
遭遇した場合、全力で消して頂きたい。
既読 20:09
「闇の能力者を狩る? そんな存在がいんの? ざっけんなよ……」
確かピンクローザって最近仲間に加わった弁護士のおばさんだよね? せっかく7人揃ったのに、それとほぼ同時に私たち能力者を狩る道理の分からん奴が現れるなんて。
私は冷蔵庫から冷凍のパスタを取り出してレンジに放り込んだ。ドールデリバリーの前に夕食を済ませることにした。
チン
今日はエルフリーナの力を使い切ってなくてよかった。まだ1日2時間が限界の私の悪魔の力。残り時間は1時間あるかないかだ。
クラーラのいるバイパス沿いのローソンへは10分かからず行ける。そんなに慌てる必要もない。
私はパスタを食べ終え、缶コーヒーを飲み干した。そして、手を顔の前でクロスッ!
「cute devil power makeupッ♡」
きゅるるるんっ♡
ピカァッ!!
スタッ!
『能力者狩りねぇ。男ならエルフリーナ様の敵じゃないよ。メロメロにしてちんこちょん切ってやるから♡』
その時の私は分かっていなかった。数日後、運命の出会いが待っているなんてことっ♡
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