第357話 二刀流
事件から1週間が経った。
私は叔母の厚意により、1年前に購入したという叔母のマンションで一緒に暮らす事になった。
母と暮らしていた実家と比べると、内装からインテリアまで 全てに華やかな印象を受けた。それは食事ひとつとってもだった。
「叔母さんって何の仕事してるの?」
「私の仕事?」
「うん。だって叔母さん だいたい家にいるし。電話はよくしたり、かかってきたりしてるけど」
「また教えてあげるよ。なかなか大変な仕事なのよ」
「そうなんだ」
(どうりでお金持ちなわけだー)
「じゃあ、お風呂入ろっか!」
「うんっ!」
叔母は足が不自由な私の入浴の介助もなんなくこなしてくれた。お風呂場も広く、介助がしやすかったのかも知れない。
ちゃぽ……
「マリーちゃん、その歳にしては大きいよねー」
「え?」
「おっぱい」
「あはは。たまに男子に揶揄われるから あんまり嬉しくない」
「なに言ってんの! 大きい方がいいに決まってるっ! うんっ! すごくいいと思うっ!」
「そ、そうかな?」
「そういうものよ」
叔母の胸は確かに大きかった。Fカップなんだって。私もそのぐらい大きくなるのかな? それが女の武器になるんだって。
「これが武器か……」
私はまじまじと自分の胸を見た。
「マリーちゃんは『障害と巨乳』の二刀流になっちゃうわけなのよっ!」
「なにそれー! あははッ!」
私達はお風呂を出て夕食を食べた。ここに来てからというもの、とても贅沢をしている気がする。母や祖母と食べていた食事とは全然違う。肉料理が毎日のようにテーブルに並べられた。
「マリーちゃん、育ち盛りなんだから沢山食べないとねっ!」
食事の度に叔母はそう言った。
このお肉の栄養が、私の血となり肉となる。胸を、お尻を大きくし、より女の武器が育つ。私はそう思いながら肉を頬張った。
叔母と暮らし始めて1ヶ月が過ぎた。その日、私は運動会で非常に疲れてしまい、いつもより早めにベッドに入った。
「はあ、今日はヘトヘト……」
部屋のライトを消し、あっという間に眠りについた。
「すう……すう……」
私は妙な眩しさを感じ 目が覚めた。寝てから何時間 経ったんだろう? さすがにまだ朝じゃない。
「う、うーん……電気ついてる? 消したのに。まだ1時じゃん……」
私が体を起こすと、目に飛び込んできたのは叔母と見知らぬ男だった。
「おはよう。マリーちゃん」
その男は気持ち悪い笑顔だった。
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