第343話 エルフリーナの能力

「ネルさーんッ! どこっ?」


 アイリッサはシャワールームから飛び出し、部屋を見渡した。しかし、ネル・フィードの姿はない。悪魔の臭いも感じ取れない。


 耳は澄ましていた。でも、ドアが開いた音は聞こえなかった。


「ま、ましゃかっ!?」


 アイリッサは2人が仲良く静かーに出て行ったのかも知れないと思ったら、いてもたってもいられなくなった。


「べ、別の部屋に移動してイチャイチャするんじゃないでしょうねー! そんなの絶対許さないんだからっ!」


 ガチャッ! バタンッ!


 部屋を出て、天使の嗅覚で2人の居場所を探りながら通路を歩くアイリッサの姿が、かなり怪しく防犯カメラに映っていたのは言うまでもない。 






















 コオオオオ……



 空調の音だけが響くルーム『19』


 テレビの前にあるソファーの上に置かれたにゼロとエルフリーナの2人はいたのだった。


『にゃは♡ 出ていったねっ!』


「こ、これは? まさか君のって……」


 ゼロのその一言を聞いてエルフリーナの顔色が変わった。


「能力? この状況に驚くんじゃなくてそれを確認するって、まさかっ?」


 ゼロはエルフリーナの目を見た。


「こうやってちゃんと会えて嬉しいよ。闇の能力者、エルフリーナッ!」


『や、やっぱりーっ!』


 エルフリーナは美しい金色のロングヘア。黒のキャミソールに白のワイドパンツスタイル。露出された肌は透き通るように白く美しい。そして首元にはキュートなドクロのネックレス。噂通りのプリティーなルックスの彼女は、銀色に輝く瞳でゼロをじーっとみつめていた。


「俺のこと、エルリッヒから聞いているのか?」


『ゼ、ゼロさん、あなたが『能力者狩り』なの? 本当に?』


「ああ。でもという表現には語弊がある。正しくは救おうとしている、だ」


『救う? 私たちを? へえ。ゼロさんが救ってくれるんだ〜♡』


「もちろんだ。だが、その前に確認させてくれないか?」


『にゃにをかな?』


「君の能力についてだ。これって……俺たちはかなりということなのか?」


 エルフリーナは髪をかきあげ、トゥルトゥルの脇を見せながら笑った。


『にゃははっ♡ 正解! 今、私たちの体の大きさは〜蚊と同じくらいかな〜?』


「蚊? そういうことッ!」

(今のは断じてダジャレではないッ!)


 エルフリーナの能力。それは姿が消せるのではなく、極限にまで小型化こがたかできる能力だった。


『こんなに小さくなっても人の首ちょんぎるぐらいの力は発揮できちゃうんだから! なめないでねっ♡』


「なめてなんかないさ。君たち闇の能力者の実力はよく分かっているつもりだからね……」


『ねえ、ゼロさん……』


「なんだっ?」


だけど、私がゼロさんと会うのを決めたのは……』


「あ、ああ……」






















『私がゼロさんにしちゃったからなのっ♡』


「ああ…………んええっ!?」


 エルフリーナはクッションによさりかかりながら、後ろで手を組み、ゼロに甘ーい視線を送っていた。

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