第341話 エルフリーナがやって来る!

 コットンラビッツ『ルーム19』



 ガチャリ!



 ネル・フィード、アイリッサの2人はついにエルフリーナとの決戦の場にやって来た。


 広さは6畳程、壁は薄いピンク色。40V型のテレビが部屋の奥にあり、その前には黒い大きめのソファー。宿泊者の為にちゃんとシャワールームも完備されている。


 ネル・フィードは満場エッチから、ヴァルギナに部屋番号を送信。


 仲介人ヴァルギナが提示してきた『連れの方がいらした場合、約束は無効』……その意味を十分理解しているネル・フィードの緊張はMAXに到達していた。


「約束の13時まで残り1分……! アイリッサさん! シャワールームに隠れていて下さいッ!」


「は、はい! エンジェル・ヒーリングをスタンバイしつつ隠れます!」


 アイリッサは個室の奥にあるシャワールームに身を潜めた。


「いつでも来い。エルフリーナ!」



















 そして、遂に時刻は約束の13時になったッ! それとほぼ同時だったッ!





 コンコンコンッ!!





「……き、来たッ!」


 エルフリーナを包囲し、逮捕しようとしていた個室の私服警察官たちは、扉を開けるのと同時に首を刎ねられ瞬殺された。


 にも関わらず、通路に設置された防犯カメラにはエルフリーナどころか怪しい人影すらなかった。


 ドックン! ドックン!


 心拍数が自然と増加する!


 ダークマター生命体とはいえ頭部、心臓への大きなダメージ、首の切断は十分死に至る。


 アイリッサを連れて入室した所をエルフリーナに見られていた場合、どんな攻撃を仕掛けてくるか分からない。


 ネル・フィードはゆっくりとドアノブに手をかけた。



 ガチャ……!


「くっ……!」


 ドアを開けたものの、そこには誰もいないッ! ネル・フィードは後方へジャンプし、入口から離れたッ! 


 キィィイ……パタンッ!!


 ドアが勝手に閉まったッ!


「エ、エルフリーナ、なのか?」

(全く感じないッ! こんな閉鎖された空間でもまるで人体の気配を感じないぞッ!)


 コオオオ……


 空調の音だけが不気味に部屋に響いている。


 シャワールームに隠れていたアイリッサは、僅かに開いたドアから鼻を突き出し、悪魔の臭いを嗅ぐ為に嗅覚を研ぎ澄ませていた。


 くんかっ! くんかっ!


「ぷひー……」

(ちょっと待って……なにこれ? 悪魔の臭いがしない? んん? ちょっとだけ……する? え? 殆ど分っかんないよっ! どゆことっ!? 本当にいるのっ?)


「エルフリーナッ! 姿を見せてくれっ! 頼むッ! 話がしたいッ!」


 ネル・フィードがそう叫んだ……その時ッ!!




















『ゼロさん約束破ってるからなぁ。どうしようっかなー』



 ビクウッ!!


 先程と同じく、耳元でエルフリーナに囁かれた『ゼロ』は、寝首をかかれたのに等しい敗北感に襲われていた。


「ど、どうすればいいんだっ!」

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