第333話 あそこ♡
『やったりますよ!』
このネル・フィードの不用意な発言により、アイリッサの乙女心に嫉妬の炎が着火した。ということで、ネカフェ到着後、ふたりは同室に入ることになった。
ハイドライドが言っていたようにヴァルギナのメッセージを無視した場合、エルフリーナの『姿なき斬り裂き攻撃』が炸裂する可能性は非常に高い。ネル・フィードはなんとかアイリッサを説得できないものかと考えていた。
「ふうー」
(やはり男女ふたりでの入室は危険だ。昨晩考えたように、アイリッサには別の部屋で待機してもらうのがベストなんだ。どないしよ……)
悩むネル・フィードの隣で、アイリッサの鼻息はその強さを増していた。
「まったく! ネカフェ売春?
「フェミニーナ?」
(それはデリケートゾーンの軟膏だって。暫くはそっとしておこう……)
ふたりはバドミールハイム駅から徒歩10分のところにある雑木林にやって来た。あたりに人の気配はない。
「アイリッサさん、ここなら人目を気にせずに天使の翼を出せますよ」
「ですね。ルベリンにレッツゴー♡」
フワサッ! キラリンッ☆
「では行きましょう!」
「はい!」
ギュンッ!
シュウンッ!
ふたりは一気に上空500メートルまで上昇。首都ルベリンに向け、北西に飛び立った!
「30分もあれば着きそうですね!」
「11時着かぁ。時間に余裕がありそうですね。アーキヴァハラといえばあそこに行ってみたいんですよねえ♡」
「またまた。遊びに行くわけじゃないんですよ! まったく……」
「せっかく首都のルベリンに行くんですから。少しは楽しまないといい仕事できないと思いますけどぉ!」
アイリッサがネル・フィードを睨みつけながら言った。
「そ、そうですね。少しなら……」
(アイリッサの機嫌がよくなるなら行っておいた方がいいか。天使の力に悪い影響があってもいかんからな……)
「やったー! ぷひー!」
「で、アーキヴァハラといえばあそこって、どこに行きたいんですか?」
「ぷひひ♡ ネルさんは知らないかなぁ? いわゆるメイドカフェとか、あと……」
「あ、あー、知ってますよ! 分かりました。行きましょう!」
(確か萌え萌えキュンキュンってやるだけでショボイ飯の値段が跳ね上がるヤヴァい店だったはずだ。あんなところに行きたいのか? しょーもないな……)
「ぷひー! 楽しみだなぁー♡」
実はアイリッサが行きたいのは萌え萌えキュンキュン♡のメイドカフェではなく、別のコンセプトカフェなのであった。
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