第327話 勝手に警備員♡

 ネル・フィードは夢を見ていた。


 それはとてもいい夢ではなかった。



 ある女の夢だ。



 自分の事を、自分の理解を越えて愛してくる女の夢だ。


 ネル・フィードはその女を知っている。名を『ミロッカ』と言った。


 彼女もネル・フィードと同じ、ダークマターの種族。


 ミロッカはネル……いや、マギラバの活動を応援している者の1人だった。















 ガチャ!




「お疲れ様。マギラバ♡」


「うわああああ─────ッ!!」


「なんでそんなに驚くのよ?」


「な、なんでミロッカがっ! 俺の家のトイレにいるんだよっ! つか驚くに決まってるだろ!」


「マギラバの家の鍵、開いていたわ」


「ほ、本当? 鍵かけ忘れたかな?」


「本当よ。だから私が警備してあげてたんじゃない」


「だとしても! 勝手に人んち入っちゃダメだろ!」


「マギラバ。私、今パンツ下ろしてるんだけど。なんならよ」


 チョロチョロ、チョロ!


「あっ! ご、ご、ごめんッ!」


「いいのよ。見てくれて。全然構わない。勝手にマギラバの家のトイレに入っていた私が悪いんだもの」


「分かったから! ありがとう警備しといてくれて! さあ! トイレ終わったら帰るんだ! ミロッカ!」


「私、警備のお礼を頂かないと帰れないわ」


「警備のお礼っ?」

(絶対、勝手に鍵開けて入ったくせに! お礼だとっ?)


「そうよ。お股のおしっこ、舐めて綺麗にしてよ。そのぐらいできるわよね?」


「なっ、なにをっ!?」


 パカッ♡


「ねえ、早く。綺麗にして♡」


「ミロッカ、足を閉じるんだ」

(顔が可愛いのが逆に困る。即、警察呼んでもいいレベルなんだが。なんでこんなに変態なんだろう?)


「マギラバ、あなたが計画しているミューバに関する事。宇宙警察にチクるよ? どうする?」


「え? ちょっ……」

(つい可愛い子だったからペラペラ喋っちゃったんだよなー。まさかこんな事になるなんて。もう完全なるストーカーになっちまったよ)





















 ぺろぺろぺろぺろぺろぺろっ♡



「ああー♡ 凄いッ! どんどん綺麗になっちゃうッ! もっと奥もっ!」



 べろぺろぺろぺろぺろぺろっ♡
























「ど、どうかな? だいぶ綺麗になったと……」


「そうねっ♡ なった! とても綺麗になったわ! 最高っ♡」


「今日はありがとう、ミロッカ」


「うんっ♡ じゃーねー!」



 パタンッ!


















「あの子、ヤバいって。1週間前は家の前、3日前は深夜の訪問、今日はついに不法侵入。次はどうなるんだ? あっ! パンティー置いていきやがった……」

































 ネル・フィードは目を覚ました。時刻は午前3時になるところだった。


「またか、ミロッカの夢。あの時は驚いたな。アイリッサへの想いが大きくなるのと同時にミロッカの夢を見るようになった気がする」


 ネル・フィードはキッチンへ行き水を飲んだ。ふとスマホに目をやるとメッセージ通知が来ていた。


「こ、これはっ!!」


 それは間違いなくヴァルギナからのエルフリーナ確定のメッセージだったっ!

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